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2004/04/07 20:10 更新


「企業にも1980円の波を」ソースネクスト、エンタープライズ市場に進出

ソースネクストは、「StarSuite 7」と「いきなりPDF」を携えて、これまであまり手をつけていなかったエンタープライズ市場にも進出していく意向を示した。

「企業にも1980円の波を」ソースネクスト取締役の藤本浩佐氏はこう語り、今後、法人営業にも力を入れていくことを明らかにした。これまでコンシューマをターゲットにしてきたソースネクストの新機軸となる。

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左から藤本氏、永田氏、小嶋氏

 同社では、「(ソフトの)コモディティ化戦略」に基づき、2003年2月に主力製品を1980円(税別)に値下げした。この戦略の効果は大きく、BCNの調査では、本数ベースのシェアで15.6%を占め、2位以下を大きく引き離している。また、年間のセールスナンバーワン・ベンダーを選ぶ「BCN AWARD 2004」でも7部門で受賞するなど、幅広いジャンルでその効果があらわれている。

エンタープライズ市場への進出を支える2製品

 同社が法人営業を行うに当たって訴求力があると考える製品は2つある。「StarSuite 7」と「いきなりPDF」だ。

 「StarSuite」は、サン・マイクロシステムズが2002年5月から日本語対応の統合オフィスツールの提供を開始しており、「エンタープライズ版」「OEM版」「リテール版」といったように、対象や目的別の製品が存在する。このうちソースネクストはリテール版の国内販売を担当しており、ソフマップやヤマダ電機、九十九電機などの家電量販店ではStarSuiteをバンドルしたPCを販売しているほか、コンビニにも置かれるなど、まさにコモディティ化と呼ぶにふさわしい販売チャンネルの広がりを見せている。なお、「StarSuite 7」も2004年1月に「StarSuite 7パーソナルパック」として、価格が1980円(税別)のものをリリースしている。

 サン自身もStarSuiteの積極的な普及活動を行っている。国内でも先日、土浦市の教育委員会と埼玉県教育局といった自治体レベルでStarSuiteが導入された。土浦市は、市内の全市立小学校17校、中学校7校の生徒/教職員のほか、教育委員会傘下の教育機関の職員がStarSuiteを利用する。

 ただし、土浦市および埼玉県の事例は、「大規模配布ライセンス」の契約による導入となっている。同ライセンスは、文部科学省関連機関全体や都道府県の教育機関全て、大学や学校法人全体に対し、StarSuiteの大規模な無償使用を許諾するもの。プロデュースグループStarSuiteチームの永田氏は「StarSuiteの普及に関しては、両者の強みを活かす形で、協力して当たっていくという意識をお互いが持っている」と話す。

 つまり、こうした事例を作ることで、結果的に教育機関や研究機関への導入が促進できると考えているのである。

他のオフィススイート製品との差別化ポイント

 同様の商用オフィススイートには、MicrosoftのOfficeが真っ先に挙げられるが、スタンダード版でも5万円近い価格であり、また、アップグレードライセンスと比較しても、圧倒的な価格競争力を持っている。BCNのデータでは、オフィススイート製品の販売本数としては、「StarSuite 7」は43.2%のシェアとなっており、Microsoft Officeの38.9%を抑えてトップシェアとなっている。

「すでに金融機関などから数千レベルでの導入案件の話もいただいている。頻繁に使うわけではないがオフィススイートが必要、しかも安心して利用するために、サポートもほしい、という声に答えられるのがStarSuite。本当に今の業務がMicrosoft Officeでないと行えないかを検討してみてほしい」(プロデュースグループStarSuiteチームマネージャーの小嶋氏)

 また、StarSuiteとよく引き合いに出されるのがOpenOffice.org(OOo)である。同ソフトはサンがLGPL/SISSLのライセンスのもと、オープンソースとして公開したもの。コスト面での話であれば、OOoに軍配が上がりそうなものだが、小嶋氏は次のようにStarSuiteのトータルコストでのメリットを話す。

「スペルチェッカ機能、フォント、テンプレート、クリップアート、そしてユーザーサポートが付属していることが挙げられます。こうした付加価値がOOoとの差別化になると考えている」(小嶋氏)

 例えば、3000台のPCに3年間導入した場合のコストを比較してみよう。「StarSuite 7」が1400万円程度であるのに対し、Microsoftの「Office 2003 Professional Edition」は、2億4000万円近くになる(ライセンスオンライン、オープンライセンス見積もりから算出。無償アップグレード付き)。その差は実に2億2000万円以上。3000ライセンスで考えずとも、比較的巨額のコストがかかっていることが改めて分かる。

「これまで当たり前のように考えていた必要経費を見直すいい機会になると思う。案外、こうした部分のコストは多いもの」(永田氏)

 ちなみに、サポートはメールでの対応となるが、問い合わせはそれほど多くないという。

「100人いれば1人いるかいないかといったところ。だからといってサポートをおろそかにすることはなく、非常にテクニカルな問い合わせについても、2次サポートをサンが行っているので、すばやく対応できる体制となっている」(小嶋氏)

「いきなりPDF」が予想以上のヒットに。企業からの問い合わせも多数

 「いきなりPDF」は2004年3月に発売されたPDF変換ソフト。スカイコムの技術を採用し、プリンタドライバをインストールすることで、簡単にPDFを作成できる。psの生成プロセスを省くことによる高速なPDF書き出しも特徴だ。価格はもちろん1980円(税別)。

 前述のStarSuiteやOOoでもPDFでの書き出しは行えるが、これらはオフィススイートのソフトからの書き出しという制約がある。「いきなりPDF」では、印刷機能をもつほぼ全てのソフトに対応しており、各アプリケーション上でファイルを開き、プリンタ選択画面で「いきなり PDF」を選んで印刷ボタンを押すだけでPDFに変換できてしまう。

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印刷時にプリンタを「いきなりPDF」に選択するだけでPDFが書き出される

 ソースネクストの担当者が、「あまりに簡単すぎて説明することが少ない」と嘆くように、プリントアウトするのと同様の感覚で簡単にPDFが作成できるということで同製品は話題を呼び、発売2週間ほどで1万本以上が売れたという。同社では当初の販売予測から、リテールで15万本、ライセンスを含めて50万本程度と上方に修正する見込みだ。

 これまで、社内でPDF文書を作成する際にはAdobe Acrobatを使用するのが一般的であり、代替となるものもほぼ皆無といえる状況であった。しかし、Acrobatの価格は3万円前後と比較的高価なため、全社的に導入するのではなく、現実的には法務や経理など、一部のユーザーだけがdobe Acrobatを購入することが多いという。

 しかし、クロスプラットフォームで利用でき、元のデータと同様のものが見た目上再現されるなどの特徴を持つPDFの重要性は、ビジネスシーンでも年々理解されてきている。例えば次のような場合を考えてみよう。Wordで作成したファイルを相手先にメールで送ったところ、文書の履歴情報が消えておらず、思わぬ恥をかく事もある。「そんなバカな」と思われるかもしれないが、実際に大きなニュースになったケースもある。こうしたケースもPDFに変換したものを送れば防げたかもしれないのだ。

「『いきなりPDF』のように安価な製品であれば、全社員のPCに導入させることも現実的にあり得る。これまでの非効率的な状況から脱し、ユーザーの生産性を向上させる意識改革を進めていきたい」(藤本氏)

 すでに同製品には、1日に3件程度、企業からの問い合わせがあるという。3件というと少ないように感じられるが、藤本氏は、「弊社のこれまでの製品ラインを考えると、企業からの問い合わせが日に3件あるというのは極めて多い件数。しかも数千人規模の大手企業からも問い合わせがある状況」と話す。

コンシューマ市場はどうする?

 藤本氏によると、すでに社内にはチームも結成され、6月ごろを目標に本格的な活動を開始する予定であるとしている。現在は、これまでとは性格が異なる市場であることを認識し、どのようにマーケティング活動を行うかなどを含めたさまざまな話し合いが行われているという。

 しかし、こうした動きは、ソースネクストがコンシューマ市場から離れることを意味するわけではないようだ。

「これまでソースネクストはコンシューマ市場で1位になることを目指してやってきたが、そうした目標も現在の状況を見ると、ほぼ達成していると考えている。そのため、次のステップとして、エンタープライズ市場にも目を向けたのです」(藤本氏)

 いわゆるミドルウェアを扱うベンダーとは違い、あくまでクライアントサイドのソフトに対してコストメリットを示すことで、コストに対して敏感な昨今の企業に対し、新たなコスト削減の道標を示してくれるのかもしれない。

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[西尾泰三,ITmedia]

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