特集
2004/04/12 13:00 更新


特集:Xserveで構築するオープンソースJava (1/3)

FreeBSDでJava環境を構築したい。しかし、事例が少なく運用環境としては心配がある。そのような心配を一掃すべく、MacOS X ServerはBSD上でOSSのJava環境を実現してくれる。

 UNIX系のサーバOSと言うと、LinuxやFreeBSD、Solarisを思い浮かべる人がほとんどかもしれない。しかし、昨今勢いを見せているアップルコンピュータのサーバOS「Mac OS X Server」も見逃せない存在だ。Mac OS X Serverは、BSDをベースとしたUNIX系サーバOSであり、MacOSで培ったGUIのインタフェースを備える特徴を持つ。また、標準インストールでもWebやメールサーバなど、多くのサーバ環境と同じ機能がパッケージで網羅され、BSD系列としても一般的なアプリケーションがひと通り揃っている。

 この特集では、2004年4月現在最新バージョンのMac OS X Server v10.3(Panther)におけるJava開発を探るべく、オープンソース環境としてどのような状況かを見ていこう。

見 出 し 一 覧
1. Mac OS X Serverはカーネル以外のほとんどをオープンソースで構成する
2. Apacheの個々のモジュールにもGUI制御を採用
3. Java環境は即起動可能なほど整備されている
4. データベースソフトにはMySQLを標準採用
5. Java以外のオープンソース環境構成
6. GUIツールはMacOS上での操作に限られる、遠隔管理にはシェルを使う
7. サーバ起動時の設定を行うSystemStarter
7. 次期メジャーバージョンまでパッケージアップデート無料な点も際だつ

Mac OS X Serverはカーネル以外のほとんどをオープンソースで構成

 前述のように、Mac OS X ServerはBSDをベースとして構成している。そして、プリインストールされているソフトウェアは、ほとんどがオープンソースをベースとしたものである。表1には、Mac OS X Serverにプリインストールされている主なソフトを挙げた。

表1■Mac OS X Server v10.3インストール直後の主なサーバソフトとバージョン
分  類
主なソフトウェア
ファイル/プリントサーバ AppleTalk共有、SambaによるWindows共有、NFS/LPDなどによるUNIX系OSとのファイル、プリンタ共有
ディレクトリサービス OpenLDAP
Webサーバ Apache 1.3系および2.0系、OpenSSLによる暗号化、Perl、PHP、RubyおよびApacheモジュールとして動作させるmod_perl、mod_phpなど
データベース MySQL 4
アプリケーションサーバ JBoss 3.2Tomcat 4.1、JavaVM 1.4.1、WebObjects Deployment 5.2、Apache Axis
メール PostfixCyrus IMAP4Mailman(メーリングリスト)、SquirrelMail(Webメール)
ネームサービスなど BIND 9、DHCP、NAT、VPN(L2TP、PPTP)、IPFWによるファイアウォール
ネットワーク管理やシェル SSH2、Net-SNMP
その他 QuickTime Streaming Serverなどのメディアストリーミング機能

 表1を見ると分かるように、Mac OS X Serverにプリインストールされているソフトの多くは、UNIX系の開発者や管理者にとってお馴染みのものだろう。

 そして、Mac OS X Serverならでの特徴としては、GUIのサーバ管理ツールが付属していることだ。そのため、/etcや/usr/local/etc/下の設定ファイルをテキストエディタで設定変更しなくても管理ができる(画面1)。また、Mac OS X Serverに関わるほとんどのソフトウェアは、/Library/ディレクトリ下にインストールされる点も固有だ。

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画面1■サーバ管理ツールによる制御



コラム■Xserveで使うMac OS X Server

 Mac OS X Serverは、Power Mac G5、G4、G3、iMacやeMacなど、幅広いアップルコンピュータのハードウェアで動作可能だ。しかし本格的なサーバシステムとして運用するならば、このようなクライアントマシンにインストールするのではなく、サーバ専用製品にインストールしたほうが好ましい。

 アップルコンピュータでは、ハードウェアのサーバ製品としてXserveを用意している。Xserveは、1Uのラックマウントサーバであり、最新モデル「Xserve G5」ではG5プロセッサのシングル、またはデュアルCPUを選択できる。また、独自設計によるハードディスクのホットスワップはもちろん、RAIDにもオプション対応する。さらに最新のG5モデルでは筐体には38個のセンサーが内蔵されており、メモリエラー、電力、ネットワークの状態、温度など、サーバ運用環境に関わる状態をSNMP経由でモニタリング可能だ。

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画面A■「サーバーモニタ」による監視


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[大澤文孝,ITmedia]

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