特集
2004/04/12 13:00 更新


特集:Xserveで構築するオープンソースJava (2/3)


Apacheの個々のモジュールにもGUI制御を採用

 画面1に示したように、サーバ管理ツールでは単なる機能のオン、オフの切り替えだけでなく、Webサーバに至っては、モジュールの有効化/無効化など、細かい設定ができる。そうとはいえ、場合によってはより詳細な設定を行う必要性があるため、直接設定ファイルを編集したい場面もあるだろう。Mac OS X Serverでは、直接設定ファイルを編集してしまっても構わないよう考慮されている。

 Mac OS X Serverで標準インストールされるWebサーバソフトは、Apache 1.3系だ。Apache 1.3は、一般的な/usr/local/apache/下ではなく、バイナリファイルは/usr/bin/や/usr/sbin/下に、設定ファイルは/etc/httpd/下、そしてDocumentRootは/Library/WebServer/Document/というように、幾つかのディレクトリに分かれている。Apacheに限らず、Mac OS X Serverでは、/usr/local/下に各ソフトはインストールされておらず、/usr/local/ディレクトリ下は空だ。

  • /usr/bin/下

 htdigestやhtpasswdなどのバイナリファイル。

  • /usr/sbin/下

 apachectlコマンドやhttpdなどのバイナリファイル。

  • /etc/httpd/下

 httpd.confをはじめとする設定ファイル。

  • /Library/WebServer/下

 CGI-ExecutablesディレクトリとDocmentsディレクトリがある。CGI-Executablesディレクトリは、CGIプログラムを格納するために用意されたもの、Documentsディレクトリは、「/」パスのコンテンツを格納するために用意されたディレクトリだ。Documentsディレクトリには、Mac OS X Serverのテストドキュメントが含まれている。

 このような特殊なディレクトリ構造になっているので、/etc/httpd/下に含まれているhttpd.confファイルは、少々特殊なものになっている。注意したいのは、/etc/httpd/httpd.confファイルを直接編集することを想定していないという点だ。/etc/httpd/httpd.confファイルのいちばん最後には、次の設定が見られる。

Include /private/etc/httpd/users
Include /System/Library/WebObjects/Adaptors/Apache/apache.conf

 Mac OS X Serverでは、/etcは/private/etcへのシンボリックリンクとなっている。つまり、1行目の/private/etc/httpd/usersは、/etc/httpd/usersと同じだ。/etc/httpd/下に置いたusersファイルがインクルードされる形だ。

 httpd.confの追加設定をする場合には、/etc/httpd/httpd.confファイルを編集するのではなく、/etc/httpd/下にuesrsファイルを用意し、そこに追加の設定を記述することを推奨する。なぜならば、httpd.confファイルは、GUI設定ツールによって書き換えられる可能性があるからだ。ちなみに2行目の/System/Library/WebObjects/Adaptors/Apache/apache.confファイルは、WebObjectsに関する設定であり、mod_WebObjectsを構成するためのものだ。

 Mac OS X ServerにはApache 2.0系もインストールされ、/opt/apache2/にある。/opt/apache2下は、Apache 2.0をprefix=/opt/apache2としてインストールしたものと同じ構成だ。Apache 2.0系は、Mac OS X Serverのサーバ管理ツールでのサポートはなく、手動で設定ファイルを書き換えて動作させることになる。

Java環境は即起動可能なほど整備されている

 ちなみに、JBossは、/Library/JBoss/3.2/下にインストールされている。ソースのconfigure時に、dist=/Library/JBoss/3.2としてインストールした場合と構成が同じだ。


$ ls /Library/JBoss/3.2
bin             deploy          lib             server
client          farm            run             services

 設定ファイルは、/Library/JBoss/3.2/bin/run.confとなるが、ここでは、JavaVMの位置を指定しているだけであり、Mac OS Xに依存する特別な設定はない。編集する必要性はないだろう。

fig02.gif

画面2■JBossとTomcatの起動


 JBossは、/Library/JBoss/3.2/下にインストールされており、コマンドラインからは次のように起動することも可能だ(画面2)。

$ /Library/JBoss/3.2/bin/run.sh -c deploy-standalone

 Tomcatは、バージョン4.1が/Library/Tomcat/下にインストールされている。


$ ls /Library/Tomcat
LICENSE                 bin                     shared
README.txt              common                  temp
RELEASE-NOTES-4.1.txt   conf                    webapps
RELEASE-PLAN-4.1.txt    logs                    work
RUNNING.txt             server

 設定ファイルは、/Library/Tomcat/confディレクトリの各ファイルとなる。こちらもJavaVMの設定以外に、Mac OS Xに依存する特別な設定はない。ちなみに/Library/Tomcat.obsoluteディレクトリには、Tomcat 3.2.4もインストールされているので、古いバージョンを使いたいならば、そちらを使えばよいだろう。

 また、JBossおよびTomcatは、ホットデプロイ対応だ。そのため、earやwar形式ファイルを、用意されている/Library/JBoss/3.2/deploy/下にコピーすればよい。

$ cp [earまたはwarファイル] /Library/JBoss/3.2/deploy/

 これによりJBossへと登録され、http://localhost:8080/ディレクトリ名/でURL参照ができるようになる(参考特集)。またMac OS X Serverには、DeploymentToolと呼ばれるWebベースの配備記述子編集ツールが付属しており、次のようにして起動することが可能だ。

$ /Library/Jboss/Applications/DeploymentTool.woa/DeploymentTool

 DeploymentToolは、画面3に示すようにwar形式ファイルやear形式ファイル、jar形式ファイルを読み取り、その配備記述子を編集し、保存ができるツール。配備記述子はXMLファイルなので編集が厄介なものだが、DeploymentToolを使えば、簡単にWebアプリケーションの設定変更が可能だ。

fig03a.gif

画面3■DeploymentToolによる配備記述子の編集


 JDKは、1.4.1が/Library/Java/にインストールされている。/Library/Java/Home/bin/下にjavaコマンド、javacコマンド、jarコマンドなどが見られる。


$ ls /Library/Java/Home
appledocs.jar   docs.jar        lib
bin             include         src.jar

 幾つかのコマンドは、/usr/bin/下から/Library/Java/Home/bin/のコマンドへのシンボリックリンクが張られているため、たとえば次のようにしてソースファイルをコンパイル可能だ。

$ javac foo.java

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[大澤文孝,ITmedia]

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