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2004/04/12 17:56 更新


トレンドマイクロがウイルス対策「管理」の肩代わりを支援

トレンドマイクロは、定義ファイル更新といったウイルス対策管理作業のアウトソーシングサービスを考えているパートナー企業向けに、新サービスを提供する。

 トレンドマイクロは4月12日、「トレンドマイクロ ウイルス対策リモートサービス」を発表した。ウイルス対策ソフトは導入したが、それでも被害をゼロにできないことに悩む企業向けに、ウイルス対策の運用、管理を支援するものだ。

 といっても同サービスの対象は、個々のエンドユーザーではない。定義ファイル更新といったウイルス対策「管理」作業を肩代わりする、アウトソーシングサービスの提供を考えているパートナー企業向けに提供される。

 競合他社の中には、エンドユーザーに直接ウイルス対策サービスを提供するところもあるが、同社では、もともとパートナー戦略を重視してきたうえに、「パートナー経由で提供するほうが、より高い付加価値を加えた柔軟なサービスが提供できる」(同社マーケティング本部チャネルマーケティング部長の筒井淳一氏)と判断。パートナー各社それぞれのサービスを組み合わせての提供を想定している。

 実際にサービスを受けるターゲットとしては、「ウイルス対策も含め、専門知識を持った人員がいない」「ウイルス定義ファイルの更新に手が回らず、徹底できない」といった悩みを抱える、100〜500名規模の中小企業を想定。既に大塚商会、富士通ビジネスシステム、日本事務機、日本ヒューレット・パッカードなど数社が同サービスを採用し、セキュリティサービスに織り込んでいくことを検討している。

 具体的なサービス内容は、ウイルス対策において欠かすことのできない、定義ファイルの更新や各種設定といった管理作業をリモートから代行するというもの。ウイルス発生などのイベントに対し、電子メールやメッセンジャーによる通知やSNMPトラップ発行が可能なほか、ログの保存、レポート作成機能も提供される。またオプションとして、「脆弱性診断サービス」や「大規模感染予防サービス」「ウイルス感染復旧サービス」といったメニューが用意される。

 同社はこれまで、ウイルス監視サービス「Trend eDoctor」を展開してきたが、「このサービスはログの収集とレポートの作成を主眼に置いたもので、ウイルスが発生したときには、結局オンサイトでの対応を余儀なくされていた。eDoctorが一方通行的なサービスだとすれば、ウイルス対策リモートサービスはさまざまな操作をリモートから行えるようにする双方向のサービス」(同社マーケティング本部プロダクトマネージャーの小林伸二氏)。

 利用に当たっては、トレンドマイクロが先に発表したウイルス対策の統合管理ソフト「Trend Micro Control Manager 3.0」を、同サービス用にカスタマイズしたものを利用する。サービスを提供するパートナー企業に「Control Manager 3.0 エンタープライズ」を、エンドユーザー企業に「Control Manager 3.0 スタンダード」をそれぞれ導入し、パートナー企業からインターネット越しに管理する仕組みだ。

 トレンドマイクロがパートナー向けに同サービスの出荷を開始するのは5月20日の予定となっており、エンドユーザー向けにサービスが展開されるのもそれ以降となる。提供料金は、サービスを提供するパートナー企業が設定するためそれぞれ異なるが、eDoctorとほぼ同程度の料金となる見込みだ。

 こういったサービスが提供される背景には、管理者がいくら口を酸っぱくして定義ファイルの更新などを呼びかけても、すべてのユーザーがきちんと作業してくれるわけではないという現実があるだろう。定義ファイルの更新には漏れがある、ということを前提にして、管理者側、ひいてはアウトソーシングサービスを提供する側で運用・管理を制御しようというわけだ。ユーザー全員のセキュリティ意識が高いわけではないという事実を踏まえれば、同種のサービスは今後、拡大していくのではないだろうか。

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[高橋睦美,ITmedia]

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