IDG インタビュー
2004/05/07 16:49 更新

Interview:
「良い意味での独裁者はJavaにとってよいこと」とJBossのフルーリCEO (1/3)

Javaの世界では、JBossはつい最近まで、ある意味での反逆者と思われていた。JBossのCEO兼創業者、マーク・フルーリ氏は中央に立つ存在や良い意味での独裁者のイメージがあることはすばらしいことと述べる。

 JBoss Groupはオープンソースのアプリケーションサーバ、JBossを提供するプロバイダとして知られている。また、SunとJavaテストスィートのライセンスに関して意見の相違があったことでも有名だ。だが、Sunとの不和は2003年に解決している。InfoWorldの編集長、Paul Krillは先週サンフランシスコ州で開催された“J2EE 1.4 Kickoff Event”の会期中、JBossのCEO兼創業者、マーク・フルーリ氏に対し、同社およびオープンソースをテーマに話を聞いた。

InfoWorld Javaの世界では、JBossはつい最近まで、ある意味での反逆者と思われていました。Sunとの和解はどのようにして実現したのですか?

フルーリ氏 われわれは最終的に、J2EE 1.4の仕様をライセンス取得するということで合意に至りました。ここでの大きなイノベーションは、初めてオープンソース実装者がライセンス取得できるようになったということです。こうやって、われわれはライセンスを取得しました。いま現在、われわれはEJB(Enterprise JavaBeans)3.0仕様をSunと共同で作成しており、われわれがオープンソースコミュニティとJavaコミュニティで開拓した多くのイノベーションを還元しています。標準に還元しているのです。

InfoWorld EJB 3.0の完成予定はいつですか? また、どのような機能が盛り込まれる予定ですか?

フルーリ氏 3.0のドラフトは完成しましたが、公開はまだです。(6月下旬に開催予定の)JavaOneで発表しますが、事前発表はServerSide(今週)で行う予定です。今回対応したことは、単にプログラミングモデルを見つけ出すことです。今日、開発者がEJBをコーディングすることはかなり複雑ですが、シンプルな古いJavaオブジェクトモデルを利用します。Hibernateに似た、EJBQLの拡張であるクエリ言語を用います。つまり、プログラミングモデルを見つけ出し、(クエリ)言語と持続性機能を強化しているといえます。透明性があり、シンプルで馴染みのあるJavaオブジェクトベースの開発がEJB開発を大幅に簡素化することでしょう。JBossでは、JavaOneまでにプロトタイプを完成したいと思っています。

InfoWorld いま現在、Javaをオープンソースにすることに大きなメリットがあるとは思わないとお考えのようですが、JBossがオープンソース企業であることを考慮すると、これは一種の皮肉ではありませんか?

フルーリ氏 “Javaをオープンソースにすることにどんなメリットがあるのか?”と冷静に自問しました。スピードなどの重要ではない収穫は得られるでしょう。仮想マシンのクラスローダにバグがあり、しばらくの間JBossが悪影響を受けていたとします。もしわれわれがバグを修正できれば、それは良いことでしょうが、そのような重要ではないメリットは、私が大きなリスクと思っているもので相殺されます。Javaの成功は、さまざまなOSをまたぐ鋼の移植性です。Sunの開発者が、自分たちがソースコードを持たないWindows上で最高級のJava仮想マシンを構築できるという事実を考えてみると、彼らがどれほど移植性のあるプラットフォームとしてのJavaにコミットしているかが分かるでしょう。ですから、このテーマはJBossでのオープンソース事業を考えることでもあります。大きなコミュニティを持つことはメリットをもたらしますが、つまるところ、このコミュニティとファイナルコールを担当する責任を持てる人物とを融合しなければならず、私には、これはとても効率的な均衡です。JBossでは実践しています。つまり、われわれは貢献する大規模なパートナーコミュニティを抱えています。結局のところ、JBossは責任があり、代表し、契約し、事業を行っており、このような中央に立つ存在や良い意味での独裁者のイメージがあることはすばらしいことです。私が思うに、Sunは良い意味での独裁者として、この点で多大な偉業を成し遂げたと評価できます。人々は“独裁者にはうんざりだ”といいます。でも、本当に独裁者がいなくなったとして、なんのメリットがあるでしょう? 最悪の場合、SunがJavaへのコントロールを失うことが考えられますが、これがJavaにとって良いことかどうか、私には疑問です。

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