IDG インタビュー
2004/05/07 16:49 更新

Interview:
「良い意味での独裁者はJavaにとってよいこと」とJBossのフルーリCEO (3/3)


InfoWorld JBossでデュアルライセンス形式が不可能なのは、どうしてですか?

フルーリ氏 まず、金の卵を産んだガチョウを殺したくありません。これが最も重要な点で、わが社の場合、金の卵は、(Javaアプリケーションサーバの)ISV/OEMにおいて、BEAとIBMに大きく差を付けて第一位というシェアになります。

InfoWorld いま現在、JBossは黒字を出していますか?

フルーリ氏 われわれは最初から常に黒字でした。

InfoWorld 先日、私はある業界イベントに参加していました。そこでは、Microsoftの代表者が“オープンソースがあるのにどうしてソフトウェア業界が存在するのか、理解できない”というようなことを言っていました。ソフトウェアを無償で提供するなら、実際どうやって競争するのか、ということです。これについて、どう回答しますか?

フルーリ氏 まず、ただ飯はありえないという点では全員が合意できると思います。過去にさかのぼって話をしましょう。20年前、ビル・ゲイツ氏は、Free Software Foundationの設立者である(リチャード)ストールマン氏といっしょに作業をしていました。ストールマン氏は20年、30年前に、フリーソフトウェアとオープンソースを考案しました。当時、ストールマン氏と若きゲイツ氏は、当時の公開されたフォーラムで激しい議論を交わしていました。ゲイツ氏は、私の耳には正確な主張をしていました。“このフリーソフトウェアとか言う考え方は、道理にかなっていない。理由は、ソフトウェアを書き、マーケティングをし、ディストリビューションすることはとても高価な事業で、これらすべての資金供給するためには、ライセンスが必要だ”というのがゲイツ氏の主張で、私は、この意見は概して正しいと思っています。当時といまとで変わったことは、非常にシンプルなことで、インターネットと呼ばれるものの登場です。インターネットにより、われわれはいろいろなもの――注意しなければなりません、正統派ではないものです――を集めることが可能となり、われわれは寄せ集めて世界級のアプリケーションサーバを作ることが可能になりました。さらに重要なこととして、コストゼロでディストリビューションが実現するようになりました。少なくとも、われわれにはコストはかかっていません。SourceForgeにホスティングしてもらっています。マーケティングに関しては、非常に低いコストで実現しています。JBossがダウンロード数でSunを抜いたとき、マーケティングに割くコストはゼロでした。そして、マーケティングを大々的に行いレファレンス実装を抜きました。同じコンポーネントで最適化したビジネスモデルを見ると、基本的には生殖に資金を積み立てています。ただ飯はありませんが、コストはかなり低いため、われわれは生き延びることができます。ここで金儲けをする必要があるか? もちろんです。私は非営利のオープンソースを信じていません。Microsoftがソフトウェアをスタンドアローンのカテゴリとして見たいのと同じように、私は、オープンソースをスタンドアローンのカテゴリとして見たいのです。

InfoWorld しかし、ソフトウェアを無償で提供するなら、サポート以外でどのようにして利益を得るのですか? この点で、さきのMicrosoft代表者の主張は、サポートで収益を得ようとするのであれば、中国に委託できるというものでした。米国ベースの企業はサポートモデルで競合することはできないからです。

フルーリ氏 そうです。これはリスクです。良い指摘です。真実は、そのうち分かるでしょう。(でも)JBossやLinuxのサポート市場に参入するには、非常に強い障壁が実際に存在します。説明しましょう。知識と呼ばれるものです。ユーザーが知識のない人に頼み、実際にわれわれがこのような人々と競合していると仮定します。この人は、JBossの知識がありますか? ありませんね。この人がサポートを提供する上で信頼性となるのは何ですか? ほとんどありません。われわれが理解したこと――そして、小規模なコンサルタント業者を連合することで成功してきたのか――は、最も重要なサポートを提供できるという点です。コンサルタント業者は、顧客に丁寧なアフターケアを提供しています。インドや中国の方が安いのなら、そちらを選択したいかもしれませんが、バックエンドを見ると、そのコードに責任があるベンダーは誰ですか? 今日、それはJBossで、ブランドにおける参入障害とクリティカルマスという参入障害により、今後数年間もそうであり続けるでしょう。

InfoWorld つまり、JBossはサービスとサポートモデルで存続可能だということですね?

フルーリ氏 そう、その通りです。そして、これがわれわれがコンサルティング企業と協業し、インド企業や欧米中の企業とパートナー関係を結んでいる理由です。たとえばUNISYSはサポートパートナーです。UNISYSの事業は、大規模な公共部門に重要な実装を行うことですが、オープンソースベンダーとのパートナー関係を強化しています。これにより、容易に営業提案ができるからです。「政府担当者、安く、ライセンスに縛られないからJBossの購入をお勧めします。JBossとの契約は、純粋なサポートをベースとした好感の持てる提携関係です。われわれが接点になりましょう。これなら、何か深刻な問題が起こったときも安心です。はっきりした契約に基づき、われわれが間に入りJBossスタッフがサポートし、バグに対する段階的なパスも提供します」。顧客にとって、とてもシンプルで、安心できるメッセージです。われわれはブランドがあり、コントロールを握っています。JBossのコードに関する十分な知識もあります。



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