IDG インタビュー
2004/05/18 20:19 更新


MSサーバ幹部、「次期サーバOSには多くのユーザーが移行する」 (2/2)


――Windows Server 2003のユーザーがR2に移行すると思いますか?

マグリア氏 多くのユーザーが移行すると思います。ただしアップグレードされるサーバマシンの数は非常に少ないでしょう。ユーザーの典型的なパターンは、新しいアプリケーションを導入するときに新しいサーバを購入するというものです。既存のサーバをアップグレードするというケースはそれほど多くありません。Windows Serverで分かっているのは、売り上げの大半は新しいマシンの購入に伴うものだということであり、この傾向は今後も続くと思います。

――R2計画は、Microsoftの従来の方針からの変化を意味するものですか?

マグリア氏 これは大きな変化です。Windows 3.5.1以来、マイナーリリースをしていないので、ずいぶん久しぶりということになります。こういったアップデートリリースは、ポイントリリースのようなもので、ずっと昔から存在しました。ユーザーに大きな混乱を与えないというのが、基本的な考え方です。当社では、機能パック(Feature Pack)という形でアップデートを行ってきました。しかし顧客の話を聞いて分かったのは、こういったものを全部まとめた方が顧客には使いやすいということです。

――機能パックを廃止するのですか?

マグリア氏 完全に廃止するわけではありませんが、将来的には最小限にとどめるつもりです。機能パックは、できるかぎりメジャーリリースもしくはアップデートに含めるというのがわれわれの目標です。

――ユーザーは使いたい機能パックを選べるのですか?

マグリア氏 もちろんです。使いたいものだけをオンにすることができます。

――2007年のリリース予定に間に合わせるために、Longhornの機能を削る必要が出てくるのでは?

マグリア氏 Longhornサーバについては、ユーザーは非常に高度なレベルで各種のシナリオを考えてきました。これらのシナリオの一部は、何らかの形で後退しつつあります。しかし、システムから多数の機能を取り除くというわけではありません。Longhornサーバで想定される利用方法という点で見れば、一部のシナリオが後退した形になりました。例えば、Longhornサーバで支店問題を解決するというシナリオを考えていたユーザーもいるかもしれません。恐らく支店関連のソリューションは縮小し、R2で提供する機能にわずかに追加する程度になるでしょう。

――WinFSも縮小するのですか?

マグリア氏 WinFSはLonghornサーバに間違いなく含まれます。Terminal Serverなどを使っているユーザーはWinFSを利用するだろうと予想しています。ただし、Longhornサーバが出荷されたらすぐに、何万人というユーザーがWinFSを利用してコラボレーティブサービスを実現できる、という状況には至らならないでしょう。サーバのスケール的側面およびサーバファイルシステムのスケール的側面を考えれば、こういった機能の一部についてはLonghornの後まで待たなければならないケースもあるかもしれません。しかしこの定期リリースサイクルの素晴らしいところは、Longhornサーバを出荷した後にも、ユーザーにその価値を提供する別の機会があるということです。

――Longhornではどんなシナリオがサポートされるのですか。数十人程度のユーザーでしょうか?

マグリア氏 数十人程度のユーザーであれば、スケール的にはまったく問題がありません。そのサーバ環境用にソフトウェアを最適化するだけのことです。Longhornは実際、特にMicrosoft社内で多くの人々が、われわれの計画に非常に大きな期待をかけているリリースの一つです。そしてこのリリースは、初期の段階から非常に現実的な段階への過渡期にあります。そういった過渡期には、機能やシナリオが削減されるのが常です。これは、大規模リリースの自然な成熟過程なのです。

――先ごろの欧州連合(EU)の裁定に従うために、Windows Server製品の出荷スケジュールを変更する必要はありますか?

マグリア氏 現時点では、EU関連の問題がスケジュールに与える影響は見られません。サーバ部門の場合、EUから受けた指示はプロトコルの公開に関するものですが、これについてはすでにその方針で進んでいました。先ごろ交わしたSunとの契約の一環として、その一部を実施することに合意しました。

――どんなプロトコルですか?

マグリア氏 司法省の同意審決では、WindowsクライアントとWindowsサーバ間のプロトコルをすべて公開することに同意しました。われわれが現在進んでいるのは、サーバ同士の間のプロトコルを公開するという方向です。

――長年にわたって続いているセキュリティ問題に対処するために、MicrosoftがWindowsのコードベースを完全に書き直す可能性はありますか?

マグリア氏 この問題で必要なのは、多くの場所で小さな変更を加えることだということが分かりました。通常は、1行のコードを変更するだけです。しかし、そういった変更を適用すべき場所が何千カ所も存在する場合もあります。われわれの研究グループは、コードの脆弱性を発見する素晴らしいツールを開発しました。

 どんなソフトウェアでも大幅に書き直すことがあります。実際、われわれは今、その可能性も考えています。ですが、それはセキュリティ問題のためではありません。ハードウェア環境が大きく変化したからです。10年後の世界ではIPv6が一般化しているでしょう。文字通り何兆という膨大な数のIPアドレスが利用できるようになります。それは、恐らく個々のコンポーネントが非常に分散した世界でしょう。コンピュータが今日よりも遥かに分散している環境――われわれが考えているのはそういった環境のことです。

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