IDG インタビュー
2004/05/18 20:19 更新


MSサーバ幹部、「次期サーバOSには多くのユーザーが移行する」 (1/2)

MS上級副社長のマグリア氏が、2005年下半期に投入予定のWindows Serverの暫定リリース(コードネーム:R2)、そして2007年リリース予定のLonghorn開発状況について語った。

 MicrosoftのWindows Server部門を統括するボブ・マグリア上級副社長は、先週行われたインタビューの中で、将来のOSリリースのロードマップ、Linuxの競争圧力、64ビットコンピューティングの可能性などについて語った。前回に引き続き、インタビューの後半をお届けする。

――2007年に予定されているWindowsの次期メジャーリリースの開発状況を聞かせてください。

マグリア氏 われわれはクライアント版とサーバ版を同時に開発しています。1つずつマイルストーンを達成していくつもりです。クライアント版の出荷後6〜12カ月間はサーバのテストを続ける予定です。サーバの場合には、製品の可用性を保証するためのリグレッションテストサイクルに長い時間がかかるからです。

――Longhornサーバの登場がクライアントより1年以上遅れる可能性もありますか?

マグリア氏 その可能性は常に存在します。ユーザーが出荷時期をある程度予想できるような体制を目指していますが、それでも最終的には、出荷準備が整ったところで出荷することになります。はっきり分かっているのは、Windows Serverをベータテストユーザーおよび当社内のIT部門に提供した後、彼らは複数のリグレッションテストを実施するということです。一つのテストに6〜8週間かかります。その後でわれわれがそのデータを受け取り、次のバージョンを出さなければなりません。

――Longhornの三つの主要な要素として、ストレージモデルのWinFS、高度なWebサービスを構築するための通信技術であるIndigo、そしてグラフィックサブシステムのAvalonに関する説明は聞いていますが、そのほかにも企業ユーザーに役立つ新機能はありますか?

マグリア氏 興味深い機能としては動的パーティショニングがあります。これは、Itaniumベースのシステム、つまり基本的にメインフレームとして使用されている16〜64ウェイシステム向けの機能です。われわれは、これらの環境で動的パーティショニングをまだサポートしていません。動的パーティショニングは今日、OSイメージ内でリソースをやり取りできることを意味します。このため、例えば32ウェイシステムで一つのプロセッサに障害が発生した場合、OSはプロセッサの障害を通知するとともに、新しいプロセッサを動的に取り込むことにより、ダウンタイムなしでアプリケーションの動作を継続することができるのです。これは高可用性という点で見れば、大きなアドバンテージです。

 Monadというコードネームで呼ばれる新しいスクリプティングエンジンもあります。これは完全に管理されたコード環境で、従来のWindowsサーバ用のコマンドと100%下位互換性があります。ですがMonadの最大の狙いは、コマンド同士の間で情報をやり取りするスクリプトを作成する方法を改善することにあります。コマンド間で情報を伝達するメカニズムとしてXMLを使用します。

――2005年下半期に投入予定のWindows Serverの暫定リリース(コードネーム:R2)で重点が置かれるのはどの分野ですか?

マグリア氏 情報アクセス機能の改善です。どこからでもセキュアなアクセスが可能になります。検討中の課題の一つに、VPNを使わずにインターネットから社内のサービスにアクセスできるようにすることがあります。Terminal Serverやファイルサーバへのアクセスといった機能をファイアウォール経由で利用可能にすることを検討しています。

 フェデレーションも重点分野の一つです。これは、企業がActive Directoryの情報を利用して社内のリソースを他社の従業員と共有できるようにするもので、これにより複数のパスワードを持つ必要がなくなります。

 ネットワーク防御機能の最初のインプリメンテーションも導入します。この機能は、検疫サービスとも呼ばれ、マシンがVPNを通じてネットワークに接続されるときや、マシンがLANに初めて接続される、あるいは再接続されるときに、ネットワークへのアクセスを許可する前に、そのマシンがウイルス対策ソフトウェアおよびパッチに関して規格に準拠していることを確認できるようにするというものです。

 著作権管理サービスやSharePointなど、これまで個別に出荷してきた機能もR2に盛り込まれます。Whidbey(開発ツールVisual Studio .NETのコードネーム)およびWhidbey用環境もR2に含める予定です。

 もう一つの重点分野が支店向け環境です。われわれがやろうとしているのは、Windowsサーバを情報のキャッシュとして利用できるようにすることです。Windowsサーバを基本的に支店用のアクセラレータとして機能させることにより、ユーザーエクスペリエンスを改善すると同時に、管理コストを非常に低く抑えることができます。これは、支店オフィスにはサーバなどの機器をサポートするスタッフがいないという前提に基づきます。この分野で最初にフォーカスするのは、ファイル用のキャッシングサービスで、これにより支店オフィスでローカルにファイルを共有しながら、これらのファイルのバックアップとメンテナンスを本社で確実に行い、しかも本社と支店オフィスとの通信速度を飛躍的に向上させることができます。

 開発を担当する各チームには、R2に含めてもよいとする私の判断の基準を与えてあります。Longhornのように、実現すべき主要機能が幾つかあって、これらがすべて完成するまで製品を出すわけにいかない製品とは違い、R2の場合は、とにかく機能を開発して出すことが重要であり、そうすることによって顧客にその価値を示すことができるのです。

――R2をリリースするのは、メンテナンスプログラムのSoftware Assuranceの顧客にアップデートを提供する必要があると認識しているからですか?

マグリア氏 その通りです。メジャーリリースが平均4年に1回で、Software Assuranceの顧客が3年サイクルで契約を更新すると分かれば、その間に何らかの価値を提供するのは良い考えだと思います。

――Windows Server 2003のユーザーがR2に移行すると思いますか?

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