内なる闘志こそ行動力の源――長年練り上げてきた発想を伝える:空中分解しない「シャドーワーク」の極意(2/2 ページ)
シャドーワークを実践し続ける人物に話を聞いた。その中には細かな気配りや人心掌握のテクニックが垣間見える。しかし彼ら動かしているのは「想い」である。
「GRシリーズ」とスナップに込められた想い
「GRシリーズ」は銀塩の高画質コンパクトカメラとして、シリーズ発足当初から多くのファンをつかんできた。そのデジタル対応バージョンはかなり前からコアユーザーからも高い要望が寄せられていたものだった。
野口氏は次のように語る。
「デジタル一眼レフカメラと比較した時、どうしてもその下に位置する製品としてとらえられるという誤解があったのです。しかし、製品を送り出す側としては、一眼レフカメラとはまったく別のものとして、理解してほしいという気持ちは強くありました。『GR BLOG』はスナップ写真を持ち寄りブロガーが公開することで、日常を切り取る表現手段としてのスナップをもう一度見直したい、スナップ写真の文化ともいうべきものがブログという場で花開くのではないか、という想いがあったのです」
野口氏はこうした想いを、ブログ活用の検討に入った段階から、協力者に対して伝えてきたという。新製品のプロモーションにブログを活用しよう、というお題目だけではシャドーワークは継続しなかったのかもしれない。
私の仕事は今もシャドーワークだらけです、と笑う野口氏だが、現在も「GR BLOG」で情報を発信してくれている社内のブロガーについてはこう語る。「いつまでも頼りっぱなしでいいのか、とも考えます。感謝をどう表せばいいのかと」
野口氏のスナップ写真に対する想い、「GR DIGITAL」に対する想いに共鳴したからこその協力だと思うのだが、どうだろうか。
「月刊アイティセレクト」2007年9月号 特集「シャドーワークを使いこなすプロデューサー型社員を目指せ」より)
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