日本オラクルは4月27日、金融機関向けの統合経営管理製品「Oracle Financial Services Analytical Applications」を発表した。同日から提供を開始した。
同製品は、金融機関における国際的な規制強化への対応を支援するもの。金融に関するさまざまなリスク、収益、コストを統合的に管理する。データモデルおよびセキュリティ管理の基盤「Financial Services Analytical Applications Infrastructure」、金利などの流動性リスクを管理する「Financial Services Asset Liability Management」、自己資本の充足性評価を支援する「Reveleus ICAAP Analytics」などのコンポーネントで構成されている。
製品を担当するFinancial/EPM本部プリンシパルセールスコンサルタントの古瀬泰介氏によると、2008年の金融危機を契機に、流動性リスク管理規制の強化、自己資本比率規制(通称バーゼルII)に基づく自己資本充足性の検証およびストレステストの実施といった取り組みが世界の金融機関に求められつつあるという。また、従来からの統計データに基づいたリスク管理手法では、金融危機のようなリスクを予測するのが難しくなったとしている。
このため同社は、さまざまな金融リスクと財務、収益を統合的に管理する手段を金融機関に提供することを決めた。Oracle Financial Services Analytical Applicationsは、既存の金融機関向け製品の中からこの目的に合致する機能を抽出し、再編したものになる。
Oracle Financial Services Analytical Applicationsの利用シーンとして、例えば流動性リスクの管理ではFinancial Services Asset Liability Managementを利用する。同コンポーネントが複数の金利動向や行動シナリオに基づいてシミュレーションを実施し、流動性に与える影響を評価する。
自己資本充足性の検証およびストレステストにおいては、まず失業率や信用格付けGDP成長率などの指標から金融機関に与える影響のシナリオを作成する。シナリオに基づいて各種指標や社会的情勢の変化が自己資本に与える影響を調査する。
同製品はOracle E-Business SuiteやHyperionと連携する。これにより、リスク管理と財務会計、収益原価管理を統合できる。古瀬氏によれば、E-Business SuiteやHyperionは国内外の多数の金融機関に導入されている。Oracle Financial Services Analytical Applicationsをコンポーネント単位でも導入できるため、金融機関は既存システムと連携させて高度な情報系システムを構築できるという。
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