選手との疑似LINEにドキドキ? IoTやAIで野球を面白くする方法(2/3 ページ)
ITで野球の楽しさをもっと多くの人に伝えられるか――。サムライインキュベートとIBM、そして読売ジャイアンツが協力し、ファン増につながるアプリ開発を競う「ジャイアンツハッカソン」が開催された。最新のITトレンドを駆使した、そのアイデアとは?
IoTデバイスで球場の盛り上がりを可視化――「TOHKON COUNTER」
優秀賞に選ばれたのは、リストバンド型IoTデバイスを使い、球場の盛り上がり具合を可視化するアプリ「TOHKON COUNTER」だ。リストバンドの中に加速度センサーを埋め込み、チャンスなどの場面で腕を振るとポイントがたまっていく。
選手とのキャッチボール体験やプレミアムシートへの招待など、ポイントを使ったインセンティブプログラムを用意。いつも応援しているファンへの楽しみを増やすほか、ライトな客層に球場での観戦を促す仕組みだ。試合速報や選手名鑑などと連携させることにより、リアルタイムで球場の雰囲気が把握できるほか、選手の評価軸としても機能するとしている。
アプリを開発したのは、スマートデバイスのアプリ開発などを手掛ける「ジェナ」のメンバー。社内の巨人ファンが集まり、ハッカソンに挑戦した。「ITで目に見えないものを可視化したり、人と人のつながりが増えたら面白い」という考えから、このアイデアに至ったという。
チャットボットで選手と疑似LINE――「Giants Bot」
最優秀賞に輝いた「Giants Bot」は、ジャイアンツの各選手にチャットボットを作り、試合展開に応じてコミュニケーションができるアプリ。IBM WatsonのAPI(Dialog)を使い、さまざまな質問に答えるという。
プレゼンテーションで行ったデモでは、坂本勇人選手を例に「勇人くん、今の何? アウトになった瞬間、走り出して点が入ったの」「これはね、犠牲フライっていうんだ。犠牲フライはフライでアウトになった瞬間、3塁にいたランナーが走って点が入るプレーだよ!」といったやりとりを披露。ルール解説のほか、チケットの購入方法なども示してくれる。
膨大なデータが必要になるものの、絵文字を多用する選手ならば、絵文字中心の返信に、フランクな性格ならば、毎日決まった時間になると試合に誘ってくるなど、選手ごとの人格もBotに反映できるという。主に女性ファンを増やす狙いで作られた本サービスだが、「日常的なコミュニケーションの延長にあるサービスだからこそ、コアなファンを作れる。野球好きの子供に向けたBotも作りたい」とアピールした。
チーム結成当初はVR(バーチャルリアリティ)を使ったアプリを考えていたものの、LINEがbotアカウントの開発APIを提供したニュースを見て(関連記事)、botアプリを作ろうと方針を転換。選手をより身近に感じられる点や、ファン数が少ない女性をターゲットにできる点が評価された。
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