電話に出られない新人、それってスマホのせい?:女子ヘルプデスク今昔物語 第8話(1/3 ページ)
ヘルプデスクの実績を見込まれて(?)、電話応対研修を担当することになったわたし。1人1台電話を持っているこの世の中、「電話できない」という人はいないはず。そう思っていたのだけど……。
連載:女子ヘルプデスク今昔物語
今年もウチの会社に新入社員がやってきた。LINEで遅刻の連絡するなんて時代が変わったわね――なんて思っていたら、彼らの研修をすることになってしまったのだった……。実際に登壇してみると、いろいろなトラブルが……(エピソードは全て実話です)。若者とのジェネレーションギャップに耐えきれるのか? どうなるわたし!
なんで、私が電話応対研修の講師に?
わたし: どうですか? 今の設定が完了すると元通り動くはずです。
社員: あー、ちょっとまってくださいね。おー、動きました。ありがとう。助かったよー。また、何かあったら頼むねー。
わたし: 無事に動いたんですね。よかったです。では、失礼します。
……ふぅ。そうそう。私の本来の仕事はこっち、つまりヘルプデスク業務だ。決して忘れているわけではないのだけれど、慣れない新入社員研修という仕事もやっていると、どうしても慣れない仕事の方が脳みその大半を占める。もちろん、ヘルプデスクを惰性でやっているわけではないけど、やっぱり経験と実績がある仕事をやっていると、何となくほっとするわ。
といっても、社内講師も楽しまないとね。やらされてると思うと仕事を楽しくやれないもの。
A子: 交代の時間よ。昼休み行ってきてー。
わたし: ありがとー。お腹空いてたのぉー。行ってくるわ〜。
A子: 午後からは明日の準備だったね。こっちは任せて。
わたし: うん。よろしくねー。
私たちヘルプデスクスタッフの仕事は、インシデント(トラブルや問い合わせ)対応がメインで、その対応は多岐にわたる。ほとんどがヘルプコールをトリガーとして、対応プロセスが動き出すんだけど、一度動き出すとアレやらコレやらやることが多い。例えばインシデントの登録。電話をかけてきた人にいろいろ尋ねて、発生したインシデントの情報をデータベースに登録する。
これはインシデントの具体的な内容だけでなく、いつ、どこで起こったのか、誰の、あるいはどの部署で起きたのかを確認、登録するのだ。私の会社では、そこそこ整備されている構成管理データベースがある。これでコール元が利用しているシステムやPCをチェックして、インシデントとシステムとの関連付けを行う。チェックや登録の間にコールしてきた人を待たせるわけにもいかないので、電話応対をしつつ、情報を集めつつ、データベースを見て登録しつつ……と目も手も、そして脳みそもフル回転。
そんな仕事だから、電話応対や多重作業のスキルは必須。経験で多少鍛えられるところはあるけれど、やはりこういうのは最初に体系的に学習しなきゃね。電話応対のスキルについては、「もしもし検定(正しくは『電話応対技能検定』)」という検定があるくらいだし、電話応対をないがしろにできない企業が多い、ということかもしれない。
そんな事情もあって、明日は新入社員に電話応対研修を私が行うことになった。どうなることかしら……。でも今どき1人1台の電話機を持って歩いているのだから、「電話できない」という人はいないはず。もちろん、ビジネス用語には慣れてないだろうけど、3時間ぐらい練習すればなんとかなるんじゃないかしら。ま、何とかなるでしょ。
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