時候のあいさつ、「拝啓 ○○の候」って必要?:女子ヘルプデスク今昔物語 第9話(1/3 ページ)
今回はビジネス文書の研修。時候のあいさつや敬語の復習をするのだけど、新入社員からは“ムダな一文”に見えた模様。うーん、これは説明が難しい……。
連載:女子ヘルプデスク今昔物語
今年もウチの会社に新入社員がやってきた。LINEで遅刻の連絡するなんて時代が変わったわね――なんて思っていたら、彼らの研修をすることになってしまったのだった……。実際に登壇してみると、いろいろなトラブルが……(エピソードは全て実話です)。若者とのジェネレーションギャップに耐えきれるのか? どうなるわたし!
わたし: 問題は敬語がちゃんと使えていないことだと思います。使えていない、というより、使い慣れていないんですね。
Aさん: 確かに彼らと話していると、無理に敬語を使おうとしている感じだね。その結果、間違った敬語になっちゃう。まぁ、丁寧に言おうとする意思は感じるんだけど、やっぱり敬語は正しく使ってほしいからなぁ。そのあたりは、明日の講座でフォローするの?
わたし: はい。明日は文書作成の講座なので、話し言葉より敬語がシビアになります。話し言葉は残りませんけど、文書は後に残りますからね。敬語を正しく書かせることで、定着を図りたいと考えています。報告は以上です。
Aさん: OK。頼むね。
ふぅ。「上司顔」のAさんとの話はちょっと緊張する。仕事モードではないおとなしいAさんや(皆さん忘れているかもしれないけれど、普段は比較的無口なのだ)、キーボードオタクのスイッチが入ったAさんと、仕事モードのAさんには何かギャップがある。なぜかしら。
そういえば、新入社員研修の講師業(?)を通して、少しずつ普段の自分の仕事姿を振り返ることができている。教える立場に立つと、どうしても「新入社員の見本にならなきゃ」と思うから、いつもの“報連相”も普段より丁寧にしていたり、手を抜いていた部分に気付いて反省したりする。教える側のメリットも大きいわね。
人の振り見て我が振り直せ、ではないけれど、ただレクチャーを受けるだけではなく、実際にやってみたり、他の人がやっているところを観察して、良い点や改善点をフィードバックしたりするほうが「腹落ちする」気がする。理解できるだけでなく、納得できるとでも言ったらいいかしら……。
なんて一人でコーヒー飲みつつ、いつもの逃避行。目の前には明日の講座のテキストが転がっている。講座の計画を立てなきゃいけないんだけど、イマイチ内容と時間の把握ができなくて、気が付いたら全く別のことを考えていたのだ。あー今ごろ、うちの猫は何してるんだろうなぁ……とダメダメ。テキストよテキスト。
えーと、最初はビジネス文書の“型”。社内文書の型と社外文書の書式を説明するのね。そういえば、このあたりは私が新入社員のころに研修を受けたなぁ。とはいえ、ヘルプデスクの仕事って、社外文書とはあまり縁がない。インシデントの記録や会議の議事録、FAQの更新など、書く業務のほとんどが「社内向けの記録」だ。
重要なのは正確性とスピードで、読み手を丁寧に扱うという意識はほぼない。だから社外文書の「決まり切った堅苦しいフォーマット」は、実は苦手なのよね。でも、そうも言ってられないなぁ。そうそう、本文は時候のあいさつから入って敬語もしっかり……って、あれ? 話し言葉の敬語と書き言葉の敬語って、同じだったっけ? 違ったっけ? 普段、あまり意識していなかったから、あらためて考えると分からないなぁ。ちょっと調べてみるか……。
その後、ネットサーフィンしたり、社内にある文書作成に絡む書籍を引っ張りだしたりと、準備のための準備に追われ始めてしまった。わーん、本番の準備ができてないよー(涙)。
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