大事な思い出のデータ、古いメディアに入れっぱなしで大丈夫?:半径300メートルのIT(1/2 ページ)
大事な思い出のつまったデジタルデータ、古いメディアに入れっぱなしにしていませんか? 「いつか取りだせばいいだろう」とのばしのばしにしていると……。
仕事を終えて帰宅すると、郵便箱に何やら記憶にない、海外からの届け物が入っていました。箱を開けると、中に入っていたのはカードリーダー。「あっ、やっと届いた!」――と、思わず声を上げると同時に、これを発注した理由を思い出したのでした。
大掃除で発掘された「ヘンなSDカード」の正体は
ことの発端は1カ月近く前。部屋を掃除していると、妻が昔のデジタルカメラを見つけました。中のメモリーカードを見た妻は、「なんか見たことのない、ヘンな形なんだけど」といぶかしげです。
カードを手にした私は、すぐにピンと来ました。ヘンなカードの正体は「xDピクチャーカード」だったのです。xDピクチャーカードは、富士フイルムとオリンパスが主導で作った規格で、2002年に登場したもの。思えば当時は、さまざまな規格が乱立していましたよね。
カードが入ったカメラは妻の母の持ち物でした。長年、放っておかれたため電池が切れており、充電器もない状態です。「きちょうめんな母が、写真を入れたままにしているわけがない」と言ってカメラごと捨てようとしていた妻を止め、「カードリーダーを買って中身を見てからにしよう」と話して、カードだけ保存することにしました。
古きメディアの中から出てきたのは……
そのカードリーダーが、やっと届いたというわけです。さまざまな規格のカードを読めるカードリーダーは世の中にたくさんありますが、さすがにxDピクチャーカードやスマートメディアまでカバーしているものは今やほとんどありません。私も以前は持っていましたが、とうの昔に捨てています。でも、こういうことがあると考えると、カードリーダーは1つ、保管しておくべきなのかもしれません。
はるばる中国から届いたカードリーダーをPCに接続し、xDピクチャーカードを差してみると――、カードの中には約300枚、600Mバイト分の写真が残っていたのです。そこには、妻の母親が世界中を旅行した時の記録、そして、私も知らなかったわが家の昔の写真などが、しっかり保管されていました。まるでタイムカプセルを開いたかのような感覚です(といっても、わずか10年前のものなのですが)。
妻の母親は、4年前に他界し、写真があまり残っていなかったことが心残りでした。それだけに、思わぬところから出てきた思い出の写真は私たちを驚かせ、喜ばせたのでした。わずか300円くらいで買った中国のカードリーダーが、思い出を連れてきてくれたのです。
カードリーダーはいつまで使えるか分からないので、すぐ、カード内のデータを全て吸い出して保管しました。これで、思い出はさらに永く、私たちの中に生き続けることになります。
関連記事
- 「半径300メートルのIT」記事一覧
- ランサムウェア対策にはバックアップだけど――追加したい「もう一手間」
国内でファイルを「.vvv」に変えてしまう新たなランサムウェアとみられる被害が報告されました。詳細情報はまだ出ていませんが、データを守って万一の被害に備えてください。 - スマホの写真とクラウド自動バックアップの悩ましい関係
スマホのカメラで撮影した写真――撮影者しか持っていないワン&オンリーなデータです。万が一の消失を考えればクラウドへの自動バックアップはありがたい機能ですが、情報システム部門にとっては厄介な話かもしれません。 - 簡単? めんどう? OS別面白ページをすぐ隣の人に伝える方法
ちょっと面白いコンテンツをみんなでシェアしたいときに、LINEなどがなければ意外と大変かもしれません。そんな時に便利な使い方(?)をご紹介します。 - 今どき“USBもクラウドストレージも使えない会社”なんて……
セキュリティを高めれば高めるほど、現場の利便性が損なわれてしまう――。そんな業務現場とIT部門の不毛な戦いを終わらせる方法はあるのでしょうか……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.