「アンチウイルスソフトは死んだ」発言の真意は:半径300メートルのIT(1/2 ページ)
「Firefox」の開発者が発した、「Windows 10ではPC向けのアンチウイルスソフトを買ってインストールするのは不要で、マイクロソフトが提供する無料のアンチウイルスサービスだけでいい」という言葉、果たして真実なのでしょうか。
PC初心者:「PC壊れた、買い換えよう」
PC中級者:「PC壊れた、直そう」
PC上級者:「PC壊れた、買い換えよう」
……これは、2ちゃんねるでたまに見るコピペです。いわれてみるとこのようなことはあらゆる分野でありがちなもので、初心者の意見と上級者の意見が不意に一致することがあります。ただし、結論は一緒でも、そこに至る経緯は異なりますので、その結論だけで判断するのは危険かもしれません。
アンチウイルスソフトはWindows 10では不要?
そんなことを思わせるような“物議を醸す出来事”がありました。Webブラウザ「Firefox」の開発者が、「Windows 10ではPC向けのアンチウイルスソフトを買ってインストールするのは不要で、マイクロソフトが提供する無料のアンチウイルスサービスだけでいい」とブログに書き記したのです。
これに対して、セキュリティベンダーのカスペルスキーが反論しています。
個人的にも、この話にはとても興味がありました。確かに、PCにアンチウイルスソフトを入れなくていいという人もいるのですが、その意見はまさに「セキュリティ上級者」(もちろん、上記Firefox開発者も“上級者”)のものなのです。その裏側にはどんな「経緯」があるのでしょうか。
ウイルス対策ソフトは死んだかもしれないけれど……
セキュリティに携わる人であれば、2014年のとある発言を覚えていることでしょう。セキュリティベンダーのシマンテック幹部による、「ウイルス対策ソフトは死んだ」という、衝撃の発言です。
衝撃の……とはいうものの、今から振り返るとその言葉は間違いなく真実です。ただし、その意図は「ウイルスのみの対策で守れる時代は終わった」ということです。その意味では、「2014年よりもはるか前に死んでいた」といってもいいでしょう。
私は、多くのセキュリティベンダーは、この言葉に“ある意味救われたのではないか”とも思っています。これをきっかけに、今や多くのベンダーがキーワードとして掲げている、複数の手段を用意して脅威をどこかで止める「多層防御」の時代になったのですから。
さて、その視点で、「アンチウイルスソフトは不要」という言葉を考えてみましょう。
関連記事
- 「半径300メートルのIT」記事一覧
- Windows 10 Creators Updateで追加されるセキュリティ機能たち
2017年に入ってもWindows 10の進化は止まることを知らない。次期アップデートのWindows 10 Creators Updateでは3Dなどグラフィック関連が注目を集めるが、今回は企業ユーザー向けの機能に注目してみたい。 - 毒をもって毒を制す? 本格セキュリティ家電に“まさか”の技術
ゲーム機やNAS、STBなどの“ネット家電”が増えている今、ここに攻撃を仕掛けるケースが出始めています。こうした中で登場したのが“ネットの脅威から家全体を守る”セキュリティデバイス。その仕組みがなかなか面白いのです。 - 「ウイルス対策ソフトは死んだ」発言の真意は?
Symantec幹部が発言したという衝撃的なコメントに、競合各社も反応した。そこにはどんな意味が込められているのだろうか。 - “よくあるファイル命名ルール”でデータ消失の危機?
先日、ソースコードを管理するサービス「GitLab.com」で、管理作業中に誤って本番データベースを削除してしまうトラブルが発生しました。実はこの事件からは、エンジニアでない私たちも学ぶべき点があります。 - あらゆる個人情報を奪われたWIRED記者が犯した“痛恨のミス”
一見、強固に見える「本人確認」にもスキがある――。それを実感させられる事件が米国で起こりました。あらゆる個人情報をハッキングされたこの事件はどうして起こったのでしょうか。こうした事態を防ぐ方法はあるのでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.