毒をもって毒を制す? 本格セキュリティ家電に“まさか”の技術:半径300メートルのIT(1/2 ページ)
ゲーム機やNAS、STBなどの“ネット家電”が増えている今、ここに攻撃を仕掛けるケースが出始めています。こうした中で登場したのが“ネットの脅威から家全体を守る”セキュリティデバイス。その仕組みがなかなか面白いのです。
2016年12月、ちょっと面白い「IT機器」が登場しました。セキュリティベンダーのトレンドマイクロが発売した“家全体を守る”セキュリティデバイス、「ウイルスバスター for Home Network」です。
これは、自宅のルーターにイーサネット(有線LAN)ケーブルでつなぐだけで、ネットの脅威から家族のスマホやタブレット、デジタル家電を守れるというセキュリティデバイス。最近はゲーム機やNAS、セットトップボックスなど、ネットにつながるさまざまな機器が登場しており、ここに攻撃を仕掛けてくるケースも出始めています。こうした脅威からネット家電を守ろうという製品なのです。
ちょっとITに詳しい人なら、「ファイアウォール」「IPS」「ディープパケットインスペクション」そして「ペアレンタルコントロール」が1台でできる――というと、理解しやすいかもしれません。「とうとう、こんな機能までが家電向けにも提供されるようになったのか!」と驚いた私は、発売日に自腹で購入。実際に使ってみると、なかなか面白い製品であることが分かりました。
“家族を襲う脅威”を見える化
このデバイスの特徴としては、「脅威を可視化できる」ことが挙げられます。自宅でインターネットを使っているときに、何らかの脅威――例えば、問題のあるアプリの利用やダウンロード、Webサイトに仕込まれた攻撃コード、フィッシングサイトへの誘導など――を見つけたときに、管理者のスマホにプッシュ通知を送り、その内容を表示します。
1カ月ほど利用してみると、攻撃が意外と身近なところで起こっていることが分かって驚きました。表面上は何も起きていないように見えますが、1週間に1回以上は、“脅威とされるもの”が見つかっているのです。あまり見に行かないような海外のWebページを見ると、警告がポンポンと届くようになるのは興味深い光景でした。
2017年1月下旬の時点では、まだ発売したばかりということもあって、たまに詳細が表示されない場合もありました。そして、「どのURLを開いたときに、どの部分に脅威が存在したのか」までは表示されないようです。もう少し情報が具体的だといいのですが、これまで見えなかったものが見えるだけでも、かなりセキュリティ意識が変わってくるのではないかと思います。
タイムライン機能は、家族の端末に何が起きたかを表示します。利用しているとたまに「攻撃から保護されました」という通知が表示されますが、残念ながらこれだけでは何が起きたのか分からないのです。詳細なメッセージが表示されるとうれしいのですが……
ゲーム機なども含め「利用者」と「デバイス」の関係を把握するための機能も用意されています。例えば、子どもが使う端末のインターネット利用を19時までに制限したり、家庭のネットワークに接続したとき管理者にプッシュ通知したりすることが可能。これを活用すると、子どもが自宅に帰ってきたことがスマホに通知されるので安心できるでしょう。
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