ここがヘンだよ、日本のWi-Fi:半径300メートルのIT(1/2 ページ)
災害や事故でモバイル網が混雑し、ネットにつながれない――。こんな事態に直面したとき、Wi-Fiが無料開放されるのをご存じでしょうか?
前回のコラムをいつものように近所のカフェで書いていたときのこと。原稿を書き終わってゆったりしていると、カフェの壁に貼られた紙を虫眼鏡でのぞき込んでいる人を見かけました。
一体、何だろう? といぶかしげに見ていたのが伝わったのか、振り返ったその人は、英語で「Wi-Fiにつなげたいのだけれど、説明がよく分からないの」と声をかけてきました。壁に書かれていた無線LANの接続方法は、かなり文字が小さく説明は日本語のみ。SSIDさえ分かればよかったのでしょうが、それも分かりづらかったようです。
彼女はイタリアからの旅行者で、このカフェの近くで娘さんと待ち合わせをしていたようです。イタリア語のiPhoneを勘と経験で設定変更し、無事ネットワーク接続を済ませると、すぐにIPフォンで電話をかけて娘さんと連絡を取っていました。今や、ネットにさえつながってしまえば、通話も普通にできてしまうのだなぁと、あらためて実感したのでした。
「日本でつながる」というハードルの高さ
思えば私も、海外旅行ネットワークにつながるために、必死になった記憶があります。以前、「スマホだけを頼りに観光やホテルの予約をこなす」という取材をしたとき、不安はあったものの、「実際、現地に放り出されても“スマートフォンの地図さえあればなんとかなる”」と思ったものです。しかし、それも「ネットにつながる」という前提があってこそ。現地でインターネットに接続できなければ、ホテルの中でじっとしていたかもしれません。
今や海外でも、Google Mapを使えば、“今いる場所”だけでなく、目的地までの移動手段や近くにあるレストランまで分かる時代。“ネットワーク接続への依存度”も、以前と比べて格段に増していることが分かります。
実は日本では、ネットワークにアクセスするためのハードルが高いことが課題になっていました。通信事業者が用意するWi-Fiアクセスポイントは街中にあふれているものの、「無料」で使えるWi-Fiスポットが少なかったのです。
ただ、そんな状況は変わりつつあります。現在では「Japan Connected-free Wi-Fi」という仕組みが用意されており、これをインストールして登録すれば、かなり多くのWi-Fiスポットを利用できるようです。問題は、「この仕組みがどの程度、訪日観光客に知られているか」という点でしょう。
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