もし明日、クラウドサービスが使えなくなったら……:半径300メートルのIT(1/2 ページ)
フリーミアムのクラウドサービスが転機にさしかかっている。メジャーなサービスが相次いで“本業に専念する”ことを打ち出し、周辺サービスをクローズし始めたのだ。この流れは何を意味しているのか……。
“PC”は一般的なものになりました。処理速度やソフトウェアの豊富さが差別化要因になっていた時代が過ぎ、いまではインターネットを通じてサービスを受けられるようになり、インターネットへの接続なしには何も仕事も遊びもできないという方も多いでしょう。
私もDropboxやOneDriveのようなファイル保存/共有サービス、Evernoteのようなメモやテキストをため込むサービス、そしてFeedlyのような、情報を効率良くウォッチするサービスを使っています。
クラウドサービスがなくなったらどうしますか?
これらのサービスは基本的には無料で利用できますが、「使いこなしているような人は有料のプレミアムサービスを提供するよ」といった、フリーミアムな考え方でサービスを提供しています。なんとなく「インターネット上のサービスは無料」と考えてしまいがちですが、その向こうには運営している人たちがいるはずで、そもそも無料では使えるはずがないものばかりです。
そして最近、初期(?)のクラウドサービスプレイヤーの苦しみを感じさせるようなニュースが相次いでいます。私も利用していた便利なメールアプリ「Mailbox」を運営していたDropboxが、2016年2月にそのサービスを終了すると発表しました。これは「本業であるオンラインファイル共有サービスに注力するため」ということでした。
片や、Evernoteも厳しい話が続きました。私も愛用していたスクリーンショットを取るツール「Skitch」の提供を終了する、小物を販売していたEvernote Marketを閉店するなど、こちらも「本業であるEvernote本体に注力するため」としています。さらにEvernote本体に関してもアップルは「メモアプリにEvernoteの情報を取り込む機能を追加する予定」というコメントを行ったり、マイクロソフトは「OneNoteへのインポート機能を提供」したりと、徐々にクラウドサービスの競争が激化しているのが見て取れます。
以前も「クラウドサービスの選択基準に“他のサービスに移行できるか?”を入れるべきでは?」というコラムを書きました。すぐに大きな動きはないでしょうが、Evernoteの牙城と考えていたクラウドメモサービスも、ここまで競争が激化するとは思いませんでした。
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