“片頭痛予報”も実現? 気象データの新しい使い方を考えてみた(1/3 ページ)
気象データと自社のデータを組み合わせると、どんなビジネスが生まれるのか――。日本気象協会の講演後に行われたディスカッションでは、さまざまなアイデアが生まれた。
気象データがビジネスに生きる可能性を模索し、数々の実証実験を行っている日本気象協会。その取り組みについて、防災ソリューション事業部の吉開朋弘氏が、日本データマネジメント・コンソーシアムが主催するユーザー会で講演を行った。
講演後には、吉開氏への質問とディスカッションの時間が設けられ、熱い議論が交わされた。参加者は3つのチームに分かれ、保有するデータと天気データをどのように組み合わせ、ビジネスにつなげられるかという可能性を議論した。本記事ではその議論の様子をお届けしよう。
気象情報×Twitterの可能性
寺澤: まず私から質問をさせてください。気温データが140年間続いているとありましたが、測定技術や測定地点が違ってもデータに一貫性はあるのですか?
吉開氏: 140年前から今まで、測定の機器や方法は変わってきているのですが、歴代の機器と測り方の補正は都度行われているため、統計値としては一貫性があるデータを保持できています。
参加者A: 140年前に観測できなかったが、現在では観測できる気象データはありますか?
吉開氏: 昔と今の違いは、新たに観測できるようになったというよりも、データが“点から面”になってきていることが大きいです。昔は特定の地点で定点観測をしていましたが、点の数を徐々に増やし、今はアメダスのように多くの地点で観測できるようになって、面としての推測ができるようになりました。また、今は電波を使って空間内の情報を観測できるため、より精度の高い気象観測が可能になっています。
参加者B: 機械学習を使った気象予測はできるのですか?
吉開氏: 今、まさに取り組んでいるテーマです。現在も予報モデルのメッシュより細かい部分の天気はニューラルネットワークなどを使って予測されているのですが、過去の予測データと観測データを蓄積して、その部分を高度化しようという取り組みを実施しています。長期予報となるとなかなか難しいのですが、コンピュータが発達すればできることも増えるはずです。
参加者C: 気温を予測できるという話ですが、実際には風や湿度、日射量などによって体感温度が違うと思うのですが、そのあたりはどうでしょう?
吉開氏: 体感温度については、「体感気温」という形で指数化を試みています。2016年はTwitterなどで「寒い」「暑い」という言葉を採取し、そのときの気象データと付き合わせて、実際の気象情報と人が感じる感覚から、体感気温を算出しようとしました。まだ、改良の余地は十分あるので、これからの研究テーマでもあります。
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