敵は社内にあり! 抵抗勢力との向き合い方 「隠れた抵抗を見逃すな」:榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』(1/2 ページ)
抵抗勢力の萌芽は、実は“微妙な兆候”として表れている――。隠れて分かりづらい抵抗の芽を見つけ、拾い、ケアすることが、後の円滑な意思疎通につながります。
この記事は榊巻亮氏のブログ「榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』」より転載、編集しています。
「抵抗勢力との向き合い方」を解説する連載の3回目は、「隠れた抵抗を見逃すな」。抵抗は隠れている。隠れた抵抗を掘り起こし、見つけることが重要なのだ。
『抵抗勢力との向き合い方』からエッセンスを紹介
- 抵抗勢力との向き合い方 〜予告編〜
- 抵抗とは何か? 〜抵抗は悪ではない、むしろ歓迎せよ〜
- 隠れた抵抗を見逃すな 〜隠れた抵抗こそ全てのカギ〜
- 表に出た抵抗に対処する 〜2つのズレを解消せよ〜
- 頑固な抵抗に対処する 〜7つの常とう手段を総動員〜
- 誰を巻き込むべきか 〜チーム編成の極意〜
- 強い変革チームを立ち上げる 〜対症療法ではなく、根治治療で抵抗と戦う〜
隠れた抵抗を見逃すと、後で“急成長”する
「隠れた抵抗」とはどんなものか? ピンと来ない人もいるだろう。そして、それを見逃すとどうなるか? 実際の例を見てみよう。
【隠れた抵抗を見逃した事例】
ごく一部のメンバーでプロジェクトを立ち上げ、プロジェクトの狙いやゴールについて議論したときのこと。その後、本格的に現状調査を始めようという段階で、プロジェクトに新たなコアメンバーのAさんが参画してきた。現状調査を進める上で重要なキーパーソンだった。
Aさんに会い、プロジェクトの目的や進め方について時間をかけて説明した。その席でAさんはこんなことを言っていた。「うん、まぁ、いいんじゃない? でも少しだけ……。まぁ、いいのか。うん、いいですよ。頑張ってやっていきましょう!」
Aさんは少し引っ掛かるところがありそうだったが、私たちが丁寧な説明をしたためか、納得してくれたようだった。新しいコアメンバーがプロジェクトの趣旨を理解し、前向きに取り組んでくれることが大事だったので、私はこのときホッと胸をなで下ろしたのを覚えている。
しかし、これが甘かった。3カ月後、Aさんはこんな発言をした。「最初からハッキリ言っているが、このプロジェクトはうまくいかない。コンセプトが悪いよ」
正直、困惑した。「最初からハッキリだって? 最初の説明では納得していたじゃないか」と思ったが、それはあとの祭り。最初の段階でAさんの違和感を拾ってケアできていたら、こんな発言にはならなかっただろう。
この話をするたびに当時のことを鮮明に思い出す。なかなか派手に失敗したものだ……。
隠れた抵抗を見逃すとは、こういうことだ。この程度であっても、微妙な兆候をしっかりと拾ってケアしておかないと、あっという間に頑強な抵抗に変わってしまう。そうなると、プロジェクトにとって致命傷になりかねないのだ。
それにもかかわらず、隠れた抵抗を重要視している人はほとんどいないのが現実だ。隠れた抵抗がいかに恐ろしいものか、肝に銘じてもらいたい。
では、どうやって対応すればいいのか。実は、抵抗の兆候を拾いまくり、1つずつケアしていくしか手はない。「拾う」と「ケア」には対応が幾つかある。ここでは2つずつ、例を挙げて解説しよう。
隠れた抵抗の「兆候」を拾う
兆候を拾う1:オンセッションでアンテナを立てる
私は、会議の参加者の様子を相当見ている。観察し過ぎじゃないかと思うほど見る。参加者が腕組みをしたり、首をかしげたりしていないか。つまらなそうな顔をしていないかなど、とにかく見る。
そして、少しでも不穏な動きを感じたら、すかさず尋ねる。「もしかして、この進め方は気に入りませんか?」とか、「今、怖い顔をしていましたが、この案に違和感がありますか?」という感じだ。
特に何も考えず、ただ単に腕を組んでいただけかもしれないが、常に最悪のケースを想定するようにしている。私の思い過ごしなら、それでいいのだから。隠れた抵抗に気付かず、見過ごしてしまう方が怖い。
何もなければ、「いや〜、大丈夫ですよ。気にしてくれてありがとう」なんて言われることもある。逆に何かあれば、「大した話じゃないんだけどね、今のところが少し理解できなくて」とけっこう正直に話してもらえる。
僕が普段気にしている参加者の言動を下図にマッピングした。ここに示したものは全て、抵抗の予兆と捉えていい。該当する動きがあれば、気にして拾うとよいだろう。
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