“名ばかり働き方改革”は、やらない NSSOLとサーバーワークスの本気(3/3 ページ)
ただ「早く帰れ」というだけの“名ばかり働き方改革”が横行する中、“本質を見誤った改革には意味がない”と、本気の改革を進めているのがNSSOLとサーバーワークスだ。社員のモチベーションを高め、利益に貢献する働き方改革はどうすれば実現できるのか。
キャリアを築くには「勝ち馬に乗れ」
大石氏は、理想とする人材を「T字型人材」と表現する。従来の「I字型」は、アプリケーションならアプリケーションだけ、インフラならインフラだけというように、“1つの領域に特化”していたが、今は、“広く浅くカバーする横軸の知識”も必要だという。
大石氏は、「例えば、『こんなアプリが欲しい』と言われた時、真っ正直に作るのではなく、『その機能ならばこのクラウドサービスで実現できますよ』と、別の切り口から解決法を提案する。これができるかどうかはとても重要」と指摘。その上で、「ただ、“広く浅く”だけではただの便利屋になってしまうので、それと同時に誰にも負けない領域を持ち、そこはちゃんと深堀りをしていく。この横と縦の2軸を持つエンジニアが理想」と語った。
キャリアを築くためには、どのような領域を深掘りすべきか。大石氏の答えは「勝ち馬に乗れ」とシンプルだ。「米国のIT人材募集では、92%がAWSを使えることを条件にしている。自分は人と違う、とがったことがやりたいという人もいるだろうが、技術の世界には広く使われているものが残っていく傾向がある。技術者のリスクヘッジではないが、やはり勝ち馬に乗るのがいいのではないかと思う」とアドバイスした。
岡田氏は、「やりたいことをやるのが一番」としながらも、多様性を高めるためには、“あえてやりたいことから遠い領域を選ぶことも大切”という。
「30年間、営業の仕事しかしていなかった私が今、人事の仕事をしているのは、自分でも違和感があるし、人事の人たちにとっても違和感があるだろう。しかし、その中で成果を出していくことで、お互いの価値観が少しずつ変わっていく。それが重要だと思う」(岡田氏)
2時間にわたるディスカッションの最後に及川氏は、パネリストの2人に将来の展望を尋ねた。大石氏は、「技術の進化が激しい中、現在、AWSをバリバリ使っている人たちが、20年後にも働ける『シルバーワークス』いう会社を作ることを考えている(笑)。AWSを継続的にサポートしていきたい」と語った。
岡田氏は、「70歳を過ぎても、積み重ねてきた経験を話したり手ほどきしたりして、ボランティアとして役に立てればいいと思っている」と結んだ。
関連記事
- 部下がついてこない上司には別の役割を ヤフーが語る「働き方改革の前にすべきこと」
今でこそ、爆速で次々と新サービスを生み出しているヤフーだが、過去には大企業病に陥り、スピード感が停滞してしまったこともある。そんな窮状から脱し、再び成長軌道に乗せるために、ヤフーはどんな改革を行ったのか。 - 「社員の要望は聞きすぎない」 V字回復ミクシィの「はたらく環境」づくり
V字回復を果たしたミクシィは、“社員のやる気を引き出し、コミュニケーションを創出し続けるため”にどんなオフィス環境を構築しているのか。 - 働きやすさは「合理的な武器」に ハンズラボの長谷川流ワークスタイル改革
デジタル改革を推進する武闘派CIOとして知られるハンズラボの長谷川秀樹氏。昼夜を問わずに働くタイプだった同氏が働き方改革を意識するようになったきっかけとは。 - 乗り気でない人に、働き方改革をどう伝えるか
働き方改革は、とにかく経営者が腹をくくって実行することが重要――。そう話す日本マイクロソフトの澤円氏が、どうやって働き方改革に興味を持ってもらうかを解説した。 - 思い込みを捨てよ!! 非ITでも成果は出せる――「働き方改革」の実践者が語る大切なポイント
SCSKとサイボウズで「働き方改革」に取り組んできた担当者に、そのきっかけや道のり、苦悩などを聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.