中堅中小企業の働き方改革はどうすれば進むのか:Weekly Memo(2/2 ページ)
中堅中小企業の働き方改革はどうすれば進むのか。リコージャパンと日本マイクロソフトが共同で、その課題解決に向けた取り組みを始めた。果たして潜在市場を動かすことができるか。
ツールに加えて「面倒を見てくれる仕組み」も必要
筆者の質問は2つ。ユーザーサイドから見て、1つはROI(投資効果)を明示してもらえないか。もう1つは、ITの話の前に働き方改革や業務改善に向けた相談やアドバイスを低コストで受けられないか。この2つが中堅中小企業にとって、IT導入時の要望として多いからだ。
捕捉すると、1つ目の質問をする理由は、資金力が乏しい中堅中小企業にとってはIT導入についてROIをできるだけ推し量ったうえで判断したいと考えているところが多いからだ。また、2つ目については、窪田氏が先述した「どこから取り組んでよいか分からない」ユーザーへのいわばコンサルティングだ。ただ、大手企業のような資金はかけられない中で、働き方改革や業務改善に向けた相談やアドバイスを低コストで受けられる手だてがあればありがたいところだ。
この2つの質問に、リコージャパンの窪田氏は次のように答えた。まず1つ目については、「ROIを明示することは非常に重要だと認識している。当社ではこれまでのさまざまな実績からIT導入におけるROIを算出しており、これらを参考に今回の働き方改革に向けてもお客さまにとって有意義な提案を行っていきたい」と、ROIを明らかにした提案を行っていく姿勢を示した。
また、2つ目については「働き方改革や業務改善の進め方についても、新設のリコーMicrosoft 365支援センターが軸となって、全国で相談やアドバイスをきめ細かく展開していく体制を整える。今回の取り組みは、リコージャパンにとっても、かつてのモノ売りから課題解決型の営業スタイルへと本格的に移行する格好の機会だ」と語った。
日本マイクロソフトの高橋氏は、中堅中小企業の働き方改革がどうすれば進むのかについて、「今後、日本は労働人口が減少していく中で、中堅中小企業にとってもますます人手不足が深刻になる可能性が高い。そうした中で、ITを活用した働き方改革はむしろどんどん進めていく必要があるだろう。その意味で、Microsoft 365 Businessのようなクラウドサービスは当初のコスト負担が小さく、リコーMicrosoft 365支援センターから継続してサポートを受けられることから、格好の働き方改革ツールとして活用していただけると確信している」との見解を示した。
今回の両社の取り組みを聞いて、中堅中小企業が働き方改革を含めてIT化を進める環境は、かなり整ってきたのではないかと感じた。とりわけSaaSを中心としたクラウドサービスは、もともと中堅中小企業のほうがメリットが大きいと見られてきたが、やはり中堅中小企業にとってはツールだけでなく「面倒を見てくれる仕組み」も必要なのかもしれない。その大きな仕組みが今回できた格好だ。果たして潜在市場が大きく動き出すか、注目しておきたい。
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