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MRTGを使って統計をとろう

 SNMPを使ってネットワークモニタリングする場合,ucd-snmpに含まれるsnmpgetコマンドやsnmpwalkコマンドを使ってもかまわないが,それらのコマンドは高機能なものとはいえない。そこで何らかのより使いやすいSNMPマネージャが欲しいところだ。

 SNMPマネージャとしてよく使われているのが,MRTG(Multi Router Traffic Grapher)というソフトだ。MRTGは,数値の統計をとってグラフ化するためのソフトで,SNMPマネージャの機能をもっている。そのため,MRTGを使えば定期的にSNMPエージェントに接続し,その統計データをグラフ化することがいとも簡単にできる。

 以下,MRTGを使ってsnmpdに接続し,snmpdが保持する各種データをグラフ化する方法を説明する。

MRTGのインストール
 MRTGのWebページ(http://www.mrtg.org/)には,MRTGをダウンロードするページへのリンクがある。ここでは,mrtg-2.9.12.tar.gzファイルをダウンロードし,それをインストールする方法を説明する。

 MRTGを動作させるためには,Table 17に示すソフトがインストールされていなければならない。

Table 17 MRTGの動作に必要なソフトやライブラリ
ソフト名 解説
perl バージョン5.005以上
gd グラフィック描画ライブラリ
libpng PNG形式イメージを作成するライブラリ
zlib libpngが使う圧縮ライブラリ

 幸い,Red Hat Linux 6.2には,Table 17に示したすべてのソフトがインストールされているので,とくにこれらのソフトをインストールする必要はない。

 なおMRTGは,先に説明したucd-snmpとの関連性はまったくない。よって,管理者が操作するホストにはMRTGだけをインストールすればよく,ucd-snmpとMRTGの両方をインストールする必要はない。つまり,SNMPエージェントとして動作させたいホスト(主にサーバー)にはucd-snmpを,SNMPマネージャとして動作させたいホスト(管理者が操作するコンピュータ)にはMRTGを,それぞれインストールすればよいということになる。


MRTGは,集計したデータをHTML形式のファイルと画像ファイルとで表現する。そのため,Webサーバーが動作しているサーバーにMRTGをインストールすれば,集計結果をWebブラウザを通じてリモートで参照できる。

 MRTGは,次のようにしてインストールする。

(1)mrtg-2.9.12.tar.gzをダウンロードする
 前出のURLなどから,mrtg-2.9.12.tar.gzをダウンロードする。日本国内では,RingServerプロジェクトにミラーリングされているので,そこからダウンロードするとよいだろう。

(2)tarコマンドを使って展開する
 ダウンロードしたディレクトリにカレントディレクトリを移し,次のようにtarコマンドを使って展開する。

$ tar xzvf mrtg-2.9.12.tar.gz

(3)環境設定する
 するとカレントディレクトリにmrtg-2.9.12というディレクトリができるので,カレントディレクトリをそこに移動する。

$ cd mrtg-2.9.12

 次に環境設定をするため,configureコマンドを実行する。

$ ./configure

 すると環境設定が完了する。場合によってはconfigureコマンドを実行したときにエラーが発生するかも知れない。その場合には,Table 17に示した各ソフトが不足している可能性があるので,その際には不足しているものをインストールしてから,再度MRTGのインストールを試みてもらいたい。

(4)makeする
 次にmakeコマンドを実行し,makeする。

$ make

 MRTGはそれほどステップ数の多いソースコードではないため,make作業はすぐに完了する。

(5)インストールする
 次にMRTGをインストールする。そのためには,suコマンドを使ってrootユーザーとしてログインする。

$ su
Password: rootユーザーのパスワードを入力する

 次にmake installとし,MRTGをインストールする。

# make install

 以上でMRTGのインストールは完了だ。なお,MRTGのファイルは,/usr/local/mrtg-2ディレクトリにコピーされる。

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