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Directory first step 2... いま,なぜディレクトリサービスか
sankaku.gif ディレクトリサービスの利点

 すでに前節で述べたとおり,「ディレクトリ」と「ディレクトリサービス」は,分散ネットワークコンピューティング環境において,利用可能なユーザーやリソースを検出し,識別する方法を提供する。たとえば,電話帳で電話番号を探すような基本的な検索機能は,「ディレクトリサービス」として最低限の機能である。この場合,ユーザーやリソースの名前を指定するだけで,そのユーザーまたはリソースにアクセスするために必要となる情報を取得することができる。

 しかし,今日的なディレクトリやディレクトリサービスに求められているのは,このような基本的な検索機能だけではない。ポリシーに基づいてネットワーク上のすべてのオブジェクトを管理し,既存の異種ディレクトリやディレクトリサービスをも総合的に管轄できなければならないのである。そのため,今日的なディレクトリには,(1)数十から数億以上のオブジェクトを管理できるスケーラビリティ,(2)ディレクトリで管理するオブジェクトの数がどれほど増加しようと一定の時間内で応答が得られるような高性能,(3)アプリケーションなどに依存しないオープンな仕様,が求められる。

 このような要求を満たすディレクトリやディレクトリサービスで情報を一元管理することで,管理要員の増加と管理コストの増加といった問題を解決し,ユーザーの要求にも柔軟かつ迅速に対応できるようになる。この結果,次のようなメリットが得られる。

  • すべてのリソースに簡単にアクセスできる
  • どこから接続しても自分の利用環境を再現できる
  • 物理的に分散したネットワークを統合的に一元管理できる
  • 組織変更や人事異動などに伴う物理ネットワーク構造の変更やユーザーアカウントの変更に対して,柔軟に対応できる
  • 大規模で複雑な組織構造のネットワークを,組織全体の整合性を保証しながら柔軟に管理できる
  • 管理コストを削減できる
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