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Chapter 4:DNS(Domain Name System) 〜委任と内部ルート〜

4.1 委任

 あるゾーンに対する管理業務をほかのDNSサーバーに任せることを,「委任」という。「3.3 DNSの動作」で述べた内容を思い出していただきたい。Fig.3-9に示したのは,クライアントがwww.itmedia.co.jpのIPアドレスを問い合わせた場合の例であった(念のため,Fig.3-9Fig.4-1として再掲しておく)。

Fig.4-1 DNSの動作(Fig.3-9の再掲)
fig.4-1

 DNSサーバーは,自分の管轄外のゾーンに対する問い合わせがあった場合,ルートネームサーバーに対して問い合わせを転送する。しかし,ルートネームサーバーはitmedia.co.jpドメインについての情報を保持していないので,www.itmedia.co.jpドメインを含んでいるjpゾーンを管理するDNSサーバーを紹介する。このような挙動を示すのは,ルートネームサーバーがjpドメインの管理をjpゾーンのDNSサーバーに委任しているからである。

 すると,jpゾーンを管理しているDNSサーバーは,co.jpゾーンを管理しているDNSサーバーを紹介し,さらにco.jpゾーンを管理しているDNSサーバーが,itmedia.co.jpゾーンを管理しているDNSサーバーを紹介する。このように順番にDNSサーバーが別のDNSサーバーを紹介してゆくのも,管理を委任しているからである。

 もしco.jpゾーンのDNSサーバーが直接itmedia.co.jpドメインを管理しているのであれば,co.jpゾーンのDNSサーバーはitmedia.co.jpドメインを管理するDNSサーバーを紹介するのではなく,www.itmedia.co.jpのIPアドレスを直接回答する。しかし現実には,itmedia.co.jpドメインの管理は別のDNSサーバーに委任されているため,itmedia.co.jpゾーンを管理しているDNSサーバーを紹介するのである。通常,委任は親ドメインを管理しているDNSサーバー(itmedia.co.jpドメインであれば,co.jpドメインを管理しているDNSサーバー)によって行われる。

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