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Chapter 7:名前解決方法の選択 〜最適な名前解決方法の探索〜

7.1.1 NetBIOSの有効化と無効化
 Windows 2000では,デフォルトでNetBIOSが有効になっているが,設定を変更することでこれを無効にすることもできる。NetBIOSの使用状況を変更するには,[コントロールパネル]から[ネットワークとダイヤルアップ接続]を開き,NetBIOSを無効にしたいネットワークインタフェースを選択し,プロパティを表示する。

Fig.7-1 NetBIOSの使用状況の変更(クリックすると拡大可能)
fig.7-1

 [NetBIOS over TCP/IPを無効にする]を選択すると,そのコンピュータではNetBIOSが使用されなくなる。NetBIOSを使用している場合と,使用していない場合の,netstatユーティリティの出力(netstat -an)は次のとおりである。

NetBIOSを有効にしている場合

C:\> netstat -an
 Proto Local Address     Foreign Address    State
 TCP  0.0.0.0:135      0.0.0.0:0       LISTENING
 TCP  0.0.0.0:445      0.0.0.0:0       LISTENING
 TCP  0.0.0.0:1042      0.0.0.0:0       LISTENING
 TCP  192.168.1.200:139   0.0.0.0:0       LISTENING
 UDP  0.0.0.0:445      *:*
 UDP  0.0.0.0:1026      *:*
 UDP  0.0.0.0:1044      *:*
 UDP  192.168.1.200:137   *:*
 UDP  192.168.1.200:138   *:*
 UDP  192.168.1.200:500   *:*

NetBIOSを無効にしている場合

C:\> netstat -an
 Proto Local Address     Foreign Address    State
 TCP  0.0.0.0:135      0.0.0.0:0       LISTENING
 TCP  0.0.0.0:445      0.0.0.0:0       LISTENING
 TCP  0.0.0.0:1042      0.0.0.0:0       LISTENING
 UDP  0.0.0.0:445      *:*
 UDP  0.0.0.0:1026      *:*
 UDP  0.0.0.0:1044      *:*
 UDP  192.168.1.200:500   *:*

 NetBIOSを無効にすると,NetBIOSで使用している137番〜139番ポートの待ち受けが一切なくなることがわかる。NetBIOSを無効にした場合,Windows NT 4.0などで[ネットワークコンピュータ]アイコンをダブルクリックしてコンピュータをブラウジングしてもWindows 2000コンピュータは表示されないし,net useコマンドで接続しようとしても接続することはできない。

 ところで,NetBIOSを使用した従来のWindowsネットワークでは,ファイル共有やプリンタ共有を実現するNetBIOSパケットのなかに,SMB(Server Message Block)プロトコルのパケットが内包されていた。つまり,従来のWindowsネットワークにおけるファイル共有やプリンタ共有は,名前解決に成功してNetBIOSセッションを開設したあと,NetBIOSパケットのなかにあるSMBプロトコルによって実現されていたのである。これに対して,Windows 2000のActive Directory環境では,DNSやLDAPを使ってオブジェクトを特定したあと,445番ポート(microsoft-ds)の通信でSMBを使用することにより,ファイル共有やプリンタ共有を実現している。

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