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Chapter 9:既存DNSとの統合 〜BINDとの相互運用〜
9.1 既存のDNSサーバーからMicrosoft DNSサーバーへと移行する
まず最初に,既存のDNSサーバーからMicrosoft DNSサーバーへと移行する方法について説明する。既存のDNSサーバーが存在する環境にWindows 2000を導入する場合,DNSサーバーをWindows 2000に添付されているMicrosoft DNSに変更しなければならないこともあるだろう。たとえば,既存のDNSサーバーがSRVレコードに対応していないのであれば,Active Directoryを導入するまえに,SRVレコードに対応したDNSサーバーに移行しておかなければならない。BIND 8.2など,SRVレコードやDynamic DNSに対応しているDNSサーバーを使用しているのであれば,移行の時期はActive Directoryを導入するまえでも,あとでもかまわない(逆にこの場合は,なぜ移行するのかを正しく動機付けしておく必要があるだろう)。
既存のDNSサーバーからMicrosoft DNSサーバーへと移行するためには,まず,その時点で使用しているゾーン情報をMicrosoft DNSサーバーに移行させる必要がある。移行にあたって必要となる作業は,次のとおりである。
- 既存のDNSサーバーにMicrosoft DNSサーバーを登録する。登録する必要があるのは,NSレコードとAレコードである。この作業によって,そのゾーンに対する権威をMicrosoft DNSサーバーに与える
- 必要なゾーンのセカンダリとなるように,Microsoft DNSサーバーを設定する。正引きゾーンであれば,[DNS]管理ツールで[前方参照ゾーン]を右クリックして[新しいゾーン]を選択し,ゾーンの種類で[標準セカンダリ]を選択すればよい。逆引きゾーンであれば,[DNS]管理ツールで[逆引き参照ゾーン]を右クリックし,新しいゾーンを作成すればよい。なお,ローカルホストの情報である0.0.127.in-addr.arpaを転送する必要はない。既存のDNSサーバーが内部ルートになっている場合は,その情報も転送しておいたほうがよいだろう
- ゾーンの転送が完了したことを確認する。転送が完了すると,BIND 8.2.2-P5では,次のようなメッセージがsyslogなどに記録される。
zone transfer(AXFR) of "active.dsl.local" (IN) to [192.168.100].1516
- Microsoft DNSサーバーでゾーンの種類を変更する。コピーしたゾーンの名前がactive.dsl.localであれば,[DNS]管理ツールで[前方参照ゾーン]を展開し,[active.dsl.local]を右クリックして[プロパティ]を選択する。その時点では,ゾーンの種類が[セカンダリ]になっているはずなので,これを[標準プライマリ]もしくは[Active Directory統合]に変更する
- Microsoft DNSサーバーから,既存のDNSサーバーのNSレコードを削除する。active.dsl.localゾーンのNSレコードを削除するのであれば,[DNS]管理ツールで[前方参照ゾーン]を展開し,[active.dsl.local]を右クリックして[プロパティ]を選択する。[ネームサーバー]パネルを開き,既存のDNSサーバーを選択して[削除]ボタンを押す(Fig.9-1)
Fig.9-1 既存のDNSサーバーのNSレコードを削除する
- 既存のDNSサーバーのDNSサービスを停止させる
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