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Chapter 9:既存DNSとの統合 〜BINDとの相互運用〜

  COLUMN   Incremental Zone TransferとDNS NOTIFY

 Incremental Zone Transfer(IXFR)とDNS NOTIFYは,ともにプライマリサーバーとセカンダリサーバーとのあいだでゾーン転送するときに用いられる技術である。

 従来のDNSサーバーでは,セカンダリサーバーが主体となってゾーン情報を転送していた。具体的には,SOAレコードに記述されたRefresh間隔が経過すると,セカンダリサーバーからプライマリサーバーへと接続し,SOAレコードのSerialの値が増加していないかどうかを確認する。もし値が増加していれば,そのゾーン情報をすべて受信する(この方式をAXFRと呼ぶ)。

 この方式では,1つのリソースレコードを修正した場合でもゾーン情報がすべて転送されてしまうため,無駄なトラフィックを生じる原因となっていた。また,Refresh間隔に基づいてセカンダリサーバーの情報が更新されるため,タイミングによってはセカンダリサーバーに古い情報しか存在しないこともあった。このような仕組みは,Windows 2000のようにDynamic DNSを用いてゾーン情報を頻繁に更新するモデルでは適していない。まず,Dynamic DNSの更新によってプライマリサーバーのSerialの値が頻繁に変更されるため,Refresh間隔ごとにすべてのゾーン情報を更新しなければならなくなるだろう。かといって,ゾーン転送によるネットワークトラフィックを減らすためにRefresh間隔を長くしてしまうと,セカンダリサーバーにあるゾーン情報がすぐに古くなってしまう。

 これらの問題を解決するのが,Incremental Zone TransferとDNS NOTIFYである。Incremental Zone Transferは,ゾーン転送時にゾーン情報のすべてを転送するのではなく,ゾーン内で変更された情報のみを転送する仕組みである。この技術を利用すると,ゾーン転送に伴う無駄なトラフィックを抑えることができる。DNS NOTIFYは,プライマリサーバーからゾーン情報に変更があったことをセカンダリサーバーに通知する仕組みである。これにより,ゾーン情報が変更されたらすぐに,セカンダリサーバーがゾーン転送を開始できるようになる。

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