この特集のトップページへ
Chapter 9:既存DNSとの統合 〜BINDとの相互運用〜

  COLUMN   キャッシュ専用サーバーの構成方法

 連載中にキャッシュ専用サーバーの構成法について解説する機会がなかったので,ここで取り上げておこう。

 「4.5 DNSサーバーの設置計画」で解説したように,キャッシュ専用サーバーはDNSの名前解決を高速化するために使用される。同一のLAN上に存在するクライアントから発せられる名前解決要求は,比較的偏っていることが多い。なぜなら,同じ組織に所属していれば,使用するメールサーバーやWebサーバー,ftpサーバーなどが同じであることが多いからである。内部DNSサーバーが存在する場合は,同じ名前解決要求に対して内部DNSサーバーが回答すればよいため,処理速度が問題になることはあまりないと思われる。しかし,内部DNSサーバーを設置することなく各クライアントからDNSの名前を解決した場合には,それぞれのクライアントに検索結果が保持されるだけであり,クライアント同士で検索結果を共有することはできない。もちろん,プロバイダのDNSサーバーでは問い合わせた内容がキャッシュされているが,WANを介して接続しているため,キャッシュされていたとしても名前解決には時間がかかってしまう。このため,LAN上にキャッシュ専用サーバーを設置することで,DNSに対する問い合わせにかかる時間を短縮することができる。キャッシュ専用サーバーは,ダイヤルアップでインターネットに接続している場合に使用されることが多い。

 キャッシュ専用サーバーの構成方法であるが,実は何も設定する必要はない。通常のDNSサーバーはゾーン情報を管理しているが,キャッシュ専用サーバーはゾーン情報を管理していないという違いがあるだけだからである。DNSサービスをインストールして,必要であれば,ルートサーバーの情報を変更するだけで,キャッシュ専用サーバーの構成は完了する。

織田 薫(熊野 大介,Bridge Metaware

prev Chapter 9 13/14 next