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head1.gif Windows 2000がサポートするファイルシステム

 Windows NTでは,FAT,HPFS,NTFSという3種類のファイルシステムがサポートされていた。これに対してWindows 2000では,対応するファイルシステムが若干変更されている。

 まず,HPFSのサポートは廃止された。OS/2からWindows 2000へのアップグレード自体ができないため,新規にWindows 2000を導入する場合には,この点が問題になることはまずないだろう。しかし,もしOS/2からWindows NTにアップグレードしていた場合で,HPFSのボリュームをそのまま残してあった場合には,Windows 2000にアップグレードするまえに,あらかじめHPFSのボリュームをNTFSへと変換しておかなければならない。

 また,Windows NTと同様にFATファイルシステムはサポートされているが,DOS以来採用されてきたFAT16に加えて,Windows 95 OSR2以降で使用できるようになったFAT32にも対応している。このため,Windows 95やWindows 98で作成した大容量のディスクパーティションを,Windows 2000でそのまま使用できる。ただし,FAT32の最大ボリュームサイズが127Gバイトであるのに対して,Windows 2000上で作成できる最大ボリュームサイズは32Gバイトまでである(それ以上のサイズの既存ボリュームにアクセスすることは可能である)。また,FAT16をFAT32に変換することはできない。

 NTFSは,Windows NTで採用されていたバージョン4.0からバージョン5.0に変更され,大幅に機能が強化された。ただし,NTFS5.0の下位互換性はやや低いので,十分に注意してほしい。実際,Windows NTからWindows 2000にアップグレードし,NTFS4.0のボリュームをそのまま使用しようとしても,新機能はいっさい利用できない。新機能を使用するためには,NTFS4.0をNTFS5.0にアップグレードする必要がある。しかし,いったんアップグレードしたら最後,NTFS4.0にダウングレードすることはできない。

 Windows 2000とWindows NT 4.0をデュアルブートさせるなど,同じNTFSボリュームをWindows 2000とWindows NT 4.0の両方で使用するには,Windows 2000を導入するまえに,Windows NT 4.0にService Pack 4以降を適用しておく必要がある。これにより,Windows NT 4.0はNTFS5.0に疑似対応できるようになる。疑似対応というだけに,Windows NT 4.0からNTFS5.0の機能をすべて利用できるわけではない。Windows NT 4.0からNTFS5.0のボリュームに読み書きすることはできるようになるが,NTFS5.0の新機能を使ったデータにはアクセスすることができない。また,Windows NT 3.51以前のバージョンには,NTFS5.0に対応するためのドライバが提供される予定がないので,NTFS5.0のボリュームを利用することはできない。

 以上で述べたように,(1) 下位互換性が低い,(2) マルチブート構成を実現する場合に若干の注意が必要となる,という問題はあるものの,Windows 2000のみで使用する限り,NTFS5.0の新機能を最大限に享受できる。この記事では,NTFS5.0の新機能を中心に,Windows 2000のファイルシステムと,その操作法について解説する。

 なお,Windows 95やWindows 98とのデュアルブート構成を検討しているユーザーであれば,データを共有する意味で,FAT16やFAT32の利用を考えることも多いだろう。個人ユースでWindows 2000を使用する場合,セキュリティ上の問題を気にしないのであれば,NTFSを利用しなくとも,あまり大きな問題になることはない。システム自体はNTFSに導入し,共有データだけをFAT16やFAT32のパーティションで管理することも可能である。

 ただし,Windows 95やWindows 98に実装されているVFAT(Virtual File Allocation Table)と,Windows NTやWindows 2000に実装されているVFATでは,仕様に微妙な違いがある。VFATとは,DOSにおける「8.3」形式のファイル名の制限を撤廃してロングファイルネームを利用できるようにしたFATの拡張仕様である。Windows 95,Windows 98,Windows NT 3.5以降のWindowsファミリは,このVFATに対応している。Windows 95やWindows 98におけるVFATは,「8.3」の範囲内で名前を付けると,必ず大文字でファイルを保存する。しかしWindows NTやWindows 2000では,ファイル名の大文字と小文字を判別するフラグを備えているので,「8.3」形式で名前を付けても大文字と小文字が使い分けられる。この違いのため,たとえばWindows 2000でファイル名を小文字にしたつもりが,Windows 98で編集したら大文字になってしまった――などの現象が起こることになる。さらに,VFATの短縮名(従来のFATとの互換性を維持するために割り当てられる「8.3」形式の名前)の変換規則がWindows 95/98とWindows NT/2000では若干異なるために,SCANDISKのようなアプリケーションではディスク障害と誤認されるおそれもある。もっとも,これらはいずれも些細な問題なので,あまり神経質に考える必要はないだろう。

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