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head2.gif 2.1.4 PDCからBDCへの一方的な複製しかサポートされていない
 リソースを管理したりユーザーの認証に利用したりするデータベースが1箇所でしかサービスを提供していないとすると,認証などの負荷がその1台に集中してしまうことになる。さらに,万一そのサーバーが停止してしまったとすると,それだけでユーザーはリソースにまったくアクセスできなくなる。もしサーバーの停止した原因がハードウェアの障害であったとすると,たとえバックアップデータが保存されていたとしても,復旧にはかなりの時間がかかることだろう。

 このようなトラブルを予防し,リスクと負荷を分散させるために重要となるのが,データベースの複製(レプリケーション)である。NTドメインにおける複製とは,ドメインデータベースを変更可能なPDC(プライマリドメインコントローラ)から,任意の数のBDC(バックアップドメインコントローラ)に対して,データベースのデータを配布する機能である。BDCはPDCと同じデータベースを保持し,ユーザーの認証を担当する。

 しかし,BDCはPDCのデータを一方的に受信するだけであり,そのデータベースは読み取り専用である。つまり,BDCに対して,新規のユーザー登録やアクセス権限の変更などを実行することはできない。ドメインデータベースに対する変更はPDCに対してのみ実行することができるのであり,PDCのデータベースに対する変更点がBDCに対して送信される。

 このような複製メカニズムを,「シングルマスタレプリケーション」または「マスタ/スレーブレプリケーション」と呼ぶ。シングルマスタレプリケーションは,構造が単純であるという利点はあるものの,単一のマスタに依存している点が欠点となる。もしマスタとなるPDCが停止してしまうと,データベースの変更は一切できなくなってしまう。

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