Exchange 2000徹底解剖
開発環境としてのExchange 2000 Server

WebDAV

 WebDAV(Distributed Authoring and Versioning protocol for the world wide WEB)は,サーバー上のオブジェクト(Webサーバーであればファイル,Exchange 2000 Serverであればアイテムに相当する)に付随するプロパティを,HTTPを用いて設定したり参照したりするためのプロトコルである。

 通常HTTPは,(1)サーバーからクライアントに向けたファイルの送信(GETメソッド),(2)クライアント側からサーバーに向けたデータの送信(POSTメソッド),しかサポートしない。それに対してWebDAVは,HTTPの規格をさらに拡張し,ファイルやディレクトリのプロパティを設定したり,複数のユーザーでファイルを共有したりするためのロック機構などを提供する。


One Point! Webサーバーによっては,HTTP 1.1で規定された,(1)ファイル送信(PUTメソッド),(2)ファイルの削除(DELETEメソッド),(3)ファイルへのリンク(LINKメソッド/UNLINKメソッド),の機能もサポートしていることがある。たとえば,Windows NT Server 4.0で利用可能なIIS 4.0やWindows 2000 Serverに付属しているIIS 5.0は,これらの拡張規格をサポートしている。

 Exchange 2000 ServerのWeb Storage Systemを使う場合,プロパティとはアイテムに設定された情報のことである。たとえば,アイテムがMicrosoft OfficeのWord文章であった場合,そのプロパティは「タイトル」「サブタイトル」「作成者」「キーワード」などである。

 WebDAVに用意されているメソッドは,Table 2の通りである。Table 2に示したメソッドのうち,SEARCHメソッドはWebDAVの規格にはないExchange 2000 Serverの独自メソッドである。それ以外のメソッドは,WebDAVに対応する汎用的なWebサーバーでサポートされる。たとえば,(Exchange 2000 Serverをインストールしていない)IIS 5.0やフリーのWebサーバーであるApache(http://www.apache.org/)にモジュールを追加したものなどは,Table 2に示したWebDAVの拡張メソッドをサポートする。

 WebDAVの仕様は,RFC2518で提唱されている。また,http://www.webdav.org/には,WebDAVにかかわる各種資料へのリファレンスがある。詳細については,それらを参照してほしい。

Table 2 WebDAVでサポートされるメソッド

メソッド解説
MOVE指定されたURLで示されたファイルを別のURLに移動する
COPY指定されたURLで示されるファイルを別のURLにコピーする
DELETE指定されたURLで示されるファイルを削除する
LOCK指定されたURLに対してロックをかける
UNLOCK指定されたURLに対するロックを解除する
MKCOL指定されたURLで示されるディレクトリを作成する
PROPFIND指定されたURLにプロパティの値を得る
PROPPATCH指定されたURLにプロパティの値を設定する
SEARCH【Exchange 2000 Serverの独自拡張】SQL文で検索条件を指定し,その条件と合致するURLの一覧を返す
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