キャリアによってこんなに違う──KDDIとJ-フォンの次世代携帯戦略今年第3世代携帯電話サービスをスタートするKDDIとJ-フォンだが,その戦略は大きく異なる。IPバックボーンでシームレスな携帯を目指すKDDI,W-CDMA基盤強化最優先のJ-フォン。両社幹部が語った講演より。
1月15日から18日まで幕張メッセにて開催されている「3G Mobile World summit」では,国内外から参加したキャリア,ソリューションプロバイダによるケーススタディやワークショップが行われている。16日のワークショップにはKDDIの伊藤泰彦常務,J-フォンの桑折恭一郎専務が登壇し,次世代携帯端末に関する方向性と戦略を語った。
無線LANやISP間でのシームレスな通信環境を目指すKDDIの次世代携帯端末KDDIは2002年4月から「CDMA2000 1x」方式 (用語)を導入。伊藤氏が語ったのは,その先にあるCDMA2000 1xEV-DOのビジョンだ。CDMA2000 1xEV-DOは,もともとはQualcommがHDRとして開発していたもの。最高2Mbpsと通信速度が速く,通信コストを安く抑えられるのが特徴だ。
ワークショップで次世代端末戦略について語るKDDIの伊藤泰彦執行役員常務 伊藤氏によれば,KDDIが目指すのは同社のISP「DION」のバックボーンを利用した,携帯電話,FTTH/ADSL,無線LANをコンバージェンス (収れん) させていくことだという。
KDDIは,DIONブランドのバックボーンネットワーク,auブランドで展開する携帯電話を1社で持つ強みを活かす戦略。現在は別々にネットワークを構築しているが,将来的にはシンプルなIPベースのコアネットワークにまとめていこうという構想を持っている。 モバイルコンバージェンスの確立に向けたロードマップの第1段階として「電子メールサービスの統合」 (DIONとau間で共通の電子メールアドレスを利用できるようにする) ,第2段階として「ポータルサイトの統合」,第3段階で「DIONとau間でのサービスの統合」,そして「コアネットワークの統合」を行っていく。
「携帯の電子メールとPCのメールアドレスが違うのは一般ユーザーにとって面倒。(第1段階として)これらをシームレスに統合する方向で考えている」 (伊藤氏) 無線LANについて伊藤氏は「視野には入っているが,携帯電話に関して具体的なことをまだ言える段階ではない。国内でホットスポットサービスが増え始めているが,大きなトラフィックが無料になってしまうのは問題。そこをどうするのかをまず考える必要がある」と語った。
まずはシステムの基盤固めから──J-フォンの第3世代端末戦略J-フォンは,1月に登場予定の「J-SH51」 (11月16日の記事参照) などの新端末からパケット通信の導入を開始,6月にはW-CDMAの導入を開始する (8月7日の記事参照) 。
J-フォンの第3世代携帯電話のシステムは,2001年1月バージョンのW-CDMAで (3月6日の記事参照) ,「世界のW-CDMAと互換性を持った仕様」になっている。桑折氏はJ-フォンの第3世代携帯のメリットとして,高速な通信速度,大容量データサービス,より洗練されたデータサービスの提供,国際ローミング,減りつつある2Gの周波数帯を補えることなどを挙げた。 桑折氏によれば,IMT-2000導入当初の端末は「シンプルなものになる」かもしれない。「W-CDMAの技術を安定させるのは難しい。さまざまなコンテンツやサービスの提供も大事だが,まずはW-CDMAの基盤を安定させることが最優先課題」(桑折氏)。次世代携帯電話投入に伴う全く新しいサービスについては「まだ未定」だという。
Vodafoneグループ内における国際ローミングサービスの開始時期も現段階では未定。しかしVodafoneグループの一員として,全世界的にW-CDMAがスタートすれば国際ローミングの展開は速いようだ。「世界のいずれかの地域とのグローバルローミングが開始されれば,その1年内にもVodafoneグループ傘下の国をカバーできる」 (桑折氏)
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