XScaleの現在と将来──米Intelに聞く(1/2)低消費電力・高性能を特徴とするモバイル機器向けXScaleチップが発表された。ARMを独自拡張したXScaleは,DSPベースのアプリケーションプロセッサとどう戦っていくのか。米Intelの事業部長に聞いた。
PDA向けCPUのベストセラー「StrongARM」の後継チップとして,XScaleベースの「PXAシリーズ」が発表された。PDAだけでなく,携帯電話への利用も想定したPXAチップについて,米Intelハンドヘルド・コンピューティンググループ事業部長のPeter J.Green氏に聞いた。
ZDNet:世界に先駆けてXScaleベースの発表を日本で行ったわけですが,日本を重視した理由は? Peter:特に高速データレートを使ったワイヤレスデバイスの利用では,日本の市場がトレンドを決めています。 ZDNet:日本の市場を見るに,XScaleコアを使ったデバイスの市場はどのように立ち上がると見ていますか? Peter:立ち上がりは非常に早いのではないかと思っています。XScaleが提供する能力というのは,高度なビデオやマルチメディア機能,さらにMP3の再生などに向いています。そんな機能を持った端末が日本でも売れているわけで,そうした製品に非常に向いているのではないでしょうか。(動画再生機能を持ったNECのFOMA端末)「FOMA N2002」などはそのいい例です。
ARMを独自に拡張したXScaleZDNet:XScaleの位置づけについてお聞きします。XScaleは,ARMからライセンスを受けて製造しているCPUになります(2001年8月の記事参照)。ほかにもARMベースの携帯向けCPUは多いですが,同じARMベースのチップとしてXScaleの利点はどこにあるのですか? Peter:IntelがARMからライセンスされている権利は,ARMアーキテクチャを独自に拡張していけるものです。XScaleの場合,パイプラインを拡張し,マルチメディア命令を追加拡張しています(2月12日の記事参照)。さらにマイクロアーキテクチャの実装もIntel独自のものです。これによって,今日紹介したようなパフォーマンスを実現しているのです。ほかのARMライセンスを受けているメーカーは,標準的なARMライセンスを受けているだけです。 ZDNet:XScaleでは,マルチメディア命令の拡張を独自にされていますが,これはARMバージョン6で追加されたマルチメディア命令とは互換性がないと聞いていますが。 Peter:そうではありません。IntelとARMの関係は非常に緊密で,ARMバージョン6のかなりの部分は,Intelとの協業をベースとしてできたものです。 ZDNet:では,新しいARMアーキテクチャを作り出そうというものではないのですね。 Peter:ちがいます。XScaleはあくまでもARM互換をうたっています。ただしXScaleが提供する機能には,ARMベースに加えて提供しているものもあるということです。もちろんARMバージョン6もIntelはライセンスを受け,それに対する拡張もしていきたいと思っています。 ZDNet:今後のロードマップでは1GHzも見えているのでしょうか? IDFでは1GHzで動作させるデモもしていましたが(2000年8月の記事参照)。 Peter:1GHzで動作する場合には,(携帯電話のような)デバイスでは消費電力が大きすぎます。なぜあのようなデモをしたのかというと,アーキテクチャ自体は1GHzに対応する能力があるということを証明したかったからです。 ZDNet:ARMバージョン6のXScaleも既に視野に入っているのでしょうか? Peter:はい。 次ページ:DSPベースのアプリケーションプロセッサに対するXScaleのアドバンテージ
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