Mobile:NEWS 2002年7月17日 11:08 PM 更新

「エリアの広さがないと3Gに火がつかない」〜J-フォンGreen社長

J-フォンは、3Gでの成功には(1)2G並のエリア・サービス (2)2G並の小型軽量端末 (3)世界標準の遵守 が必要だと語る。実現困難とも見えるこの条件をクリアするキーワードが“Vodafone”だ

 「第3世代携帯はJ-フォンが勝てる土俵だ。心からそう信じている──」。東京・ビッグサイトで開催されているWIRELESS JAPANのカンファレンスで、J-フォンのDarryl E. Green社長は、3Gの展開に自信を見せる。

写メールを3Gで強化──J-フォンの3Gコンセプト

 昨年10月にNTTドコモは3Gサービス「FOMA」をスタートさせたが、9カ月が経った今でも契約者は10万少々と伸び悩んでいる。Green氏自身が「まず考えないといけないのは、次世代携帯電話は本当に必要なのか? ちょっと悲観的な状況になってきた」と言うように、世間の見方は3G不要論に傾きつつさえある。

 特に語られるのは、“3Gにはキラーアプリケーションがない”という部分。しかしGreen氏は、写メールやムービー写メールを指して、「キラーアプリケーションは、(2Gの段階で)もうほとんど出ていると思っている」と語る。


J-フォンの調査でも、ユーザーが求める機能のほとんどは2Gで実現されているという結果が出たという。3Gの必要性は、さらによいサービスを実現することにある

 「サービスは2Gでも実現している。しかしユーザーは現在の写メールに満足はしてない。本当はもっと大きな画像を送りたい。ムービー写メールもどうして5秒なのか? と感じている」(Green氏)。現在提供しているサービスを、3Gでさらに強化する──それがJ-フォンのコンセプトだ。

 また、現在の2Gのサービスでは「海外から写メールを送ることだけは実現していない」(同氏)ため、海外ローミングを積極的に展開する。Green氏によると、写メールユーザーの一番大きな要望は、海外からも写真を送りたいというもの。「まだまだ次世代サービスが始まらない国もあるので、これから5年は、3GとGSMのデュアルモードは欠かせない」(同氏)。

 ただし「海外、海外と叫んで、それで3Gサービスが成功するとは思わない。海外で使えるのはほかの事業者との差別化のため」(同氏)と、単なる国際ローミングは3G普及の決定力に足り得ないと指摘した。

すべての機能を2G水準以上に

 では、J-フォンは3Gサービスの普及のためにどんな方策を持っているのだろうか。1つは、“2Gと同等以上のエリア、サービス”だ。

 「次世代サービスを成功させるためには、まずエリアがないとダメだ。今の2Gサービスと同じくらいのものがないと、ユーザーは使わない」とGreen氏。J-フォンは、既存の2G(PDC)の基地局に併設する形で3Gの基地局を設置。「来年の8月までに(3Gが)PDCと同じようなカバレッジにする。エリアの広さがないと次世代サービスに火がつかない」(同氏)。

 2つ目は端末のサイズや重量、そして価格だ。3Gには2G並の小ささ、軽さ、機能、待受時間が必要だとGreen氏は説く。「(3G端末が)今の移動機よりも大きかったら使わない。今の料金より高いと使わない。いろいろな観点からいえば、今の移動機と同じあるいは上でないと普及はしない」と、性能の要求は厳しさを極める。

 3点目は、世界標準へのこだわりにある。最初に3Gサービスが語られたとき、世界標準が決まって各国が同じものになるといわれていた。ドコモが押すW-CDMAは日欧方式と呼ばれ、ドコモの立川社長はW-CDMA方式が日本でも欧州でも採用されたことを強調する。

 しかし、W-CDMAの標準化団体である3GPPが、FOMAサービススタート後も仕様を変更するなど、日欧で仕様の乱れが出てきているのも事実だ。「今日になってみると、ドコモが出した3Gは3GPPと少し離れている部分がある。似ているので、いずれ同じになると思うが、今の3Gに関しては(米QualcommのCDMA2000 1xと合わせて)3つあると言ってもいい」(同氏)。

 J-フォンが3Gサービスの延期を繰り返したのも、1つには欧州で採用されると思われる3GPPの最終仕様を盛り込むためだ。Green氏は「3GPP準拠が必須」だと強調した。

夢物語? Vodafoneとの連携がすべてを解決?

 Green氏の語る“3Gサービスが成功する条件”は、もし達成できれば未来は明るいだろう。しかし、Green氏自身も「J-フォンは、スタートが一番遅くなって、2回も延期して(4月24日の記事参照)、なに生意気なことを……といわれてもしかたがない」と語るように、疑問視する声もある。

 実際これらの条件は、J-フォンの倍以上もの投資を3Gに向けて行っているドコモでもクリアできていない。

 では、J-フォンはどうするのか。その答えは英Vodafoneにある。例えば、素早いエリア展開に必要な小型の3G基地局については、Vodafoneとの共同購入を考えている。「世界基準を守るということで、基地局を作るメーカーが世界市場を見て作るため、安価だ」とGreen氏。現在でも、PDC方式の基地局はJ-フォン専用の機械なので、高い。1回線当たりのコストは、世界の市場と比べると倍以上かかっているのだという。


J-フォンが設置を予定している3G向けの小型基地局。大きな建物が2G基地局で、そこに併設し、付帯装置を共用することでエリアの早急な拡大を目指す

 スケールメリットを生かせるのは、基地局だけではない。「弱音を言いたくないんだけど、これまでJ-フォンは辛い思いをしてきた。一番いい移動機は手に入らなくて、大きなところに先に出されてしまった」とGreen氏は胸中を明かす。

 “3GとGSMのデュアルモードが必要”というのも、Vodafonとのシナジー効果をにらんでのことだ。これによって端末が共同購入できるだけでなく、市場が世界に広がる。

 J-フォン側も、Vodafoneにノウハウを提供する。今年の秋に、欧州7カ国でVodafoneは写メールサービスを提供する予定だが、「Vodafoneは、写メール端末をほとんど日本のメーカーから購入する」とGreen氏。

 3G成功に邁進するJ-フォン。逆にいえば、J-フォンがVodafoneを活用できるのは3Gという舞台の上だけだともいえる。“Vodafoneと1つ”になって、どこまで3Gを成功させられるか。今年12月に予定されている本サービスにまずは期待したい。

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[斎藤健二, ITmedia]

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