Mobile:NEWS 2002年9月3日 07:49 PM 更新

「未承諾広告※」、受信拒否の矛盾

DDIポケット、J-フォンに続きドコモが「未承諾広告※」が記載されたメールの受信拒否を開始する。一見、効果のありそうなこの対策だが、法律を守っている“優良”迷惑メールしかブロックできないという矛盾がある

 NTTドコモが「未承諾広告※」メールの受信拒否を10月1日から開始する(9月3日の記事参照)。ドコモでは「受信ブロックなどの対策との相乗効果によって、かなりの効果がある」(広報部)と見ているが、実際の効果を疑問視する声も少なくない。

 というのも、この措置によって受信が拒否できるのは法律に則って送られるメールに限られるからだ。逆に、法を守らない悪徳業者に関しては打つ手がない。「正直者がバカを見る──」。そんな矛盾が生まれている。

厳密に定められた、「未承諾広告※」書式

 1つの問題は、件名に記述しなくてはいけない「未承諾広告※」という記述の書式が非常に厳密であることだ。法では、冒頭に「未承諾広告※」とカギカッコなしで入れることを定めている。

 しかし送られてくる迷惑メールを見ると、そもそも「未承諾広告」という文字が入っていなかったり、カギカッコ付きで「未承諾広告※」を付けているもの、「広告」と「※」の間に半角スペースを入れていたりするものなどが目に付く。こうしたメールは法に違反しており、つまり通信キャリアの受信ブロックは効果がない。

 とはいえ、通信キャリアを責めるのもお門違いだ。“通信の秘密を守る”義務のある通信キャリアとしては、法律のお墨付きがあって初めてメールの件名によるフィルタリングが可能になるからだ。

 既にDDIポケットとJ-フォンは、「未承諾広告※」が記載されたメールのフィルタリングを開始している(7月9日の記事参照6月21日の記事参照)。しかし“迷惑メールの何パーセントが受信拒否できるのか”などの具体的な数字は公表されておらず、「法を順守していない迷惑メールを防げないのが懸念」(J-フォン)とするに留めている。

取り締まりの難しい、違反迷惑メール

 では、法律に従わない迷惑メールの撲滅は可能なのか。現状ではこちらもいたちごっこが続いており、効果を上げるには課題が山積している。

 総務省と経済産業省では、それぞれ日本データ通信協会、財団法人日本産業協会という窓口を用意し、ユーザーから違反迷惑メールに関する情報を収集している(7月10日の記事参照)。7月10日から業務を開始した日本データ通信協会によると、「未承諾広告※の表記に違反したメールについての情報は、1日に200−300件送られてくる。件数の増減は今のところ見られない」という。

 同協会に送られた情報は整理され、総務省へ報告される。総務省では情報の確認を行い、「措置命令という形で(送信の停止などを)お願いする」(総務省)手順になっているが、現状では情報の確認で手一杯であり、実際の措置命令はまだ1件も出されていない。

 情報の確認をしようにも、「(違反メールには)情報が欠けているのが問題」(総務省)。違反メールの多くは、件名の表示義務だけではなく連絡先の表示義務も守られていない場合が多く、調査は難航しているのだという。

 優良業者であれば必要な情報を載せているが、違反業者の場合、措置命令を出すための情報収集が難しい。法律では罰金や懲役などの刑罰も決められているが、それは「措置命令に違反した場合」(総務省)に適用される。措置命令さえ出すのが困難な現状では、法自体が本当に抑止効果を持っているかどうかにも疑問が残る。



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関連リンク
▼ 財団法人日本データ通信協会
▼ 日本産業協会

[斎藤健二, ITmedia]

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