Mobile:NEWS 2002年11月29日 03:21 AM 更新

撮った画像を3Dに〜「SH251iS」の楽しみ方

単に3D液晶を搭載しただけでなく、さまざまな形で3Dを楽しめるよう多彩なアプローチを用意しているのも「SH251iS」の特徴。例えば、iショットで受信した画像を拡大し、3D表示することも可能だ

 NTTドコモのカメラ付き端末「SH251iS」の最大のウリは“3D液晶”(11月13日の記事参照)。立体映像をさまざまなシチュエーションで楽しめるように、内蔵カメラで撮影した静止画を3Dに変換することもできる。

 3Dへの変換には特別な画像を用意する必要はない。撮影後に「画像編集」-「3Dエディタ」を選択し、画像のタイプと効果を選ぶだけだ。静止画から自動的に奥行きを判断して立体画像を作り上げる。


撮影した画像を3D化するまでの流れ。カメラボタンの長押しで「マイピクチャ」を出し、カメラ画像一覧から3D化したい画像を選ぶ。あとは決定ボタンを押していけば3D化が完了する。3D化した画像には、自動的にファイル名の後ろに「_3D」が付加され別ファイルとして保存される。保存時にタイトルを変えたり保存フォルダを変更できるのは、便利な配慮だ

 さまざまなものを3D化してみたが、立体視しやすいものと多少の慣れが必要なものがある。この3D液晶を見たときに「昔あった絵が変わる下敷みたい」とか「目がチカチカする」という感想を漏らす人も多い。個人差もあるので微妙なところだが、眼と液晶との距離がずれていたり、正面から見ていないときは立体視がうまくいかない。慣れてくると、一発で立体視できる位置に携帯を持っていける。位置さえあえば、これまでのチラチラ感がウソのようになくなり、きれいな立体映像が飛び込んでくる。まずは立体視しやすい画像から始めて、慣れていくといい。

 内蔵の3D画像とならんで、3Dのフレームは立体視のしやすさでお勧めだ。カメラで撮影した画像の場合「接写で小物を撮ると立体化しやすい」という話も。

 3D化で使われているマーキュリーシステムの「Sandy(3D) Techonology」の理屈を考えると(技術概要はこちらを参照)、背景にも物が写っているほうが人物の立体化はうまくいくようだ。最も3D化がはっきり分かるのは接写した場合。料理などの立体化は簡単だ。立体化の画像タイプは「人物」「風景」「接写」と3種類あるが、その違いは大きくなく、適当に選んでもかなりうまく3D化される。

 SH251iSには9種類の2Dフレームが内蔵されており、表示させたまま撮影が可能だが、フレーム付き写真は最も3D化しやすい。フレーム部が前面に、人物が奥にうまく立体化される。

 また8種類用意されているアニメフレームは、うち4種類が最初から3Dで作られている。こちらははっきりと立体化が実感できるので、「撮影した画像を立体化させてもなかなかうまく3Dに見えない」という人はこちらから試してみるといいだろう。


フレームは大きく分けて3種類あり、それぞれiショット(S)サイズと待受画面サイズに適用できる。左は表示しながら撮影できる「内蔵フレーム」。カメラ起動時のメニューから選択する。中央は画像保存後に適用できる「内蔵Eアニメフレーム」。4種類の3Dフレームも含む。右は保存後に画像エフェクトの1つとして適用できるフレーム。「内蔵Eアニメフレーム」を付けると自動的に「Eアニメ」フォルダに保存され、編集やiショット送信が行えなくなる。アニメフレームを付ける場合は編集の最後にしよう。画像エフェクトのフレームを付けた場合、エフェクトの種類によって「_E2」といった文字がファイル名に付加される。あとから編集の状況が分かる、上手い工夫だ

Web上の画像も3D化〜ただしサイズに注意

 自分で撮影した画像以外も3D化できるのは、SH251iSの凝ったところだ。例えば、iショットから送られた画像を3D化することも可能。120×120、144×144、120×147ピクセルの画像がこれに当たる。iショット(S)として送られた画像は120×120か144×144だし、iショット(L)は120×147のサイズとして受信する。

 3D化できるだけでなく、画面いっぱいに拡大して表示することもできるため、例えば176×220ピクセルサイズの画像でなくとも、待ち受け画面として利用できる。最近、液晶の高解像度化が進んでいるが、小さなサイズを拡大して表示できるSH251iSのような工夫は必須であろう。なお、Webからダウンロードした画像でも、上記の3サイズであれば、拡大したり3D化できる。


iショットで受信した画像を「画像保存」すると、「マイピクチャ」の「ダウンロード」フォルダに入る。iショットの3種類のサイズの画像は画面いっぱいに拡大して表示することが可能。ここから3D化することもできる。ただし自分で撮影した場合と異なり、3D化した画像の保存はできない

 “3D”に関してたっぷり工夫されたSH251iSだが、3D画像のネットワーク上でのやり取りについては、まだ踏ん切りがついていない部分もある。PC上で3Dコンテンツを作成することも技術的には可能だが、拡張子「STJ」のフォーマットは、現在のところ公式コンテンツプロバイダにしか公開されておらず、一般のユーザーが3D画像を配布することはできない。また3D化の方法はさまざまだが、残念ながらSH251iS同士であってもメールに3D画像を添付してやり取りできない。*12月9日付記 シャープからフォーマットの公開、および3D画像作成ツールが公開された(12月9日の記事参照

 ちなみに自分で撮影した画像も、3D化できるのはiショット(S)と待受画面(メイン)のみだが、それ以外のサイズでも撮影後にサイズを変更できるので安心。これは、SH251iSのよくできたところだ。

 1枚の静止画から立体画像を生成する、マーキュリーシステムの立体化技術(11月14日の記事参照)。動画のリアルタイム立体化にも対応するアルゴリズムの流れを簡単に追ってみよう。

 人が立体視を行えるのは、左右の眼で捉える映像が微妙に異なっているからだ。右目をつぶったり、左目をつぶったりしてもらえば分かるが、近くにある物体は大きく左右に位置がずれ、遠くの物体は同じ位置に見える。

 立体視を可能にするディスプレイは、基本的に左右の眼に異なる映像を見せている(10月4日の記事参照)。メガネを使ったり、視野角を利用したりしているが、理屈は同じだ。つまり静止画から立体画像を生成するには、近くの物体が大きくずれ、遠くの物体のずれが少ない2枚の画像を生成すればいいことになる。

 では1枚の画像の中で、どこが遠い部分でどこが近い部分かをどうやって判断するのだろうか。

消失点を中央に仮定

 まず風景写真を例に取ってみよう。マーキュリーシステムの立体化技術では、画像の中心がカメラから最も遠い位置にあるものと仮定する。消失点(遠近法で無限遠点に位置する点)を中央に取るわけだ。

 続いて、カメラから等距離にあると思われる点を結んで地図の等高線のように輪郭線を描いていく。この奥行きの距離に応じて線を引いていく「オートベクトル」が同社の技術のポイントになるのだとマーキュリーシステム社長の江良一成氏は説明する。

 この作業によって、画像の各画素にカメラからの距離(Z値)が付加される。あとは距離情報を元に、近くにある画素は大きく移動させ、遠くにある画素は移動量を減らすことで、立体視可能な2枚の画像が生成できることになる。



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[斎藤健二, ITmedia]

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