Mobile:NEWS 2003年4月25日 02:21 AM 更新

「FOMAテレビ電話で手話」の魅力と課題

携帯電話を使ったコミュニケーションは、機能の向上と共に障害を持った人のコミュニケーション手段としても活用されてきた。第3世代携帯電話が可能にしたテレビ電話も、手話コミュニケーションの可能性を秘めている

 第3世代携帯電話の代表的な機能であるテレビ電話は、ろう者が手話でコミュニケーションを取れるようになる可能性を秘めている。しかし、実際に利用してみると、便利に活用できるだけでなく課題点もある。

 大阪大学で開催されているシンポジウム「ケータイ・カーナビの利用性と人間工学」で、宇都宮大学工学部情報工学科の塩野目剛亮氏が、携帯電話のテレビ電話を使って手話会話を行う可能性と課題について発表した。

メールより自然にコミュニケーション

 ろう者のコミュニケーション手段として、携帯電話の文字メールが大きな恩恵をもたらしているのはよく知られている。しかし、ろう者にとっては手話を用いたほうがより自然にコミュニケーションが取れる。塩野目氏は「文字メールは日本語であり、(ろう者が)普段利用する手話とは異なる言語体系を持っている」と話す。

 そこで期待されるのがNTTドコモのFOMAに代表されるテレビ電話機能付き端末の活用だ。

 課題の1つは、片手で手話ができるのかどうかだった。しかし塩野目氏の実験によると、ろう者は荷物を持ったときなどに片手による手話を日常的に行っており、実験でも、もし分からないときは聞き返す、ことでコミュニケーションが成り立つことが示されたという。

 では、実際にFOMAを使って手話会話を行った場合はどうか。現在販売されている4種類のテレビ電話対応FOMA端末を使い、実際にろう者と手話学習者でテストを行ったところ、現状のテレビ電話の課題が見えてきた。

機能のトレードオフ〜フレームレート向上が重要

 まず1つは画面の見やすさだ。テレビ電話で手話を行うには、「手話を画面に収めるため、手に持った端末を思い切り伸ばさなくてはならない」(塩野目氏)。昨今の携帯電話は大画面化が進んでいるとはいえ、画面が遠く、見えづらくなる。

 ではカメラの画角を広角にしてはどうか? 「広角にすると、(手話の)手を伸ばした場合、手だけがアップになってしまい不自然」だと塩野目氏は指摘する。

 もう1つの問題は重さだ。テレビ電話機能付き端末は軽量とは言えず、「腕を伸ばした状態で手話をするのは難しい」(同氏)。被験者の間では、折りたたみ型の端末(「P2102V」「P2101V」)やノートPC型の端末「SH2101V」)を机に置いたり、ほかの人に端末を持ってもらうといった様子が見られたという

 そして最も大きな課題がフレームレートだ。現行のテレビ電話は秒間15コマ程度の滑らかさであり、テレビ放送の秒間30コマよりかなり劣る。「動きのぎこちなさを感じる人が多かった。理解への負荷に通じる」(同氏)。

 いくつかの課題はあるとはいえ、テレビ電話機能がろう者にとって魅力的なコミュニケーション手段であることは間違いない。「多くの人が遠隔地手話コミュニケーションに魅力を感じている」と塩野目氏。

 同氏によると、手話会話に最も効果のある改善はフレームレートの向上。また、カメラのズーム機能をリニアにしたり、画面を拡大するフィルムなども欲しいという。「テレビ電話端末の想定ユーザーグループにろう者が入るような製品が理想」(同氏)。




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[斎藤健二, ITmedia]

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