Mobile:NEWS 2003年6月12日 09:51 PM 更新

「505i」はFOMAへの架け橋

好調なドコモの「505iシリーズ」。しかし、ほぼ従来の倍の容量に拡大されたコンテンツサイズは、パケット料金の増大をもたらす。巨額の請求書を受け取った505iユーザーはどうするのか?

 NTTドコモの「505iシリーズ」が好調だ。最初の「D505i」の発売から3週間余り、ドコモによると既に23万台が販売されたという(6月11日の記事参照)。

 メガピクセルカメラ、外部メモリカード、QVGA液晶、iアプリDX……。「2Gでできることはすべてやった」という通り、505iシリーズの魅力は高い(4月8日の記事参照)。しかし、ユーザーはそろそろ届く最初の請求書を見て、驚くことになるだろう。

あまりに高額なパケット料金

 505iユーザーは、請求書に記載されたパケット料金のあまりの高さに仰天するに違いない。従来の約2倍にリッチになったコンテンツに対して、パケット料金はそのままだからだ。

 例えば、iアプリDXだ。最大230Kバイトに容量が拡大されたことで、1世代前の家庭用ゲーム機に匹敵するゲームが揃っている(4月9日の記事参照)。しかし、そのゲームをダウンロードするために必要なパケット料金はどうなのか。

 「プログラムの動作に必要な基本データは約230Kバイトあり、ダウンロード1回の目安は約560円です」と、名作ゲームをiアプリDXで提供しているナムコのページには記載されている。コンテンツ代金と合わせて、約860円が1ゲームに必要な計算になる。

 着信メロディも従来の倍だ。容量制限が10Kバイトから20Kバイトに拡大したことで、音質や曲の長さは格段に向上した。その代わり、パケット料金も倍──最大で1曲48円に達している。

 “Webを見るだけで、ダウンロードしないなら大丈夫”とも言い切れない。画像のファイルサイズが拡大しているからだ。液晶がQVGA化されるに伴い、コンテンツプロバイダは505i向けに画像を書き直している場合が多い。美しい液晶表示と引き替えに、ユーザーは従来の倍の代金を支払わねばならない。こちらも1ページ最大48円だ。

 iモードページを3ページも見たら、缶コーヒーや新聞が買えるだけのパケット料金が取られる──。505iがもたらしたのは、こうした世界でもある。

ユーザーはFOMAに乗り換えざるを得ない

 従来の2倍近いパケット料金請求を突きつけられたユーザーの選択肢は2つだ。505iの豊かで面白いコンテンツの利用をやめるか、それともFOMAに移行するか、である。

 ドコモは505iシリーズでのパケット料金を値下げする気は全くない。なぜなら、10分の1以上にパケット料金が安いプランのあるFOMAが用意されているからだ。

 当初、テレビ電話など3Gならではの機能をアピールしていたFOMAだが、最近のCMがアピールしているのは“料金の安さ”。505iのリッチコンテンツに慣れたユーザーを、料金面からFOMAに導こうという意図が見て取れる。

 2003年度、FOMA端末の開発主幹を務めるiモード事業部は、この流れを予想して505iのスペックを決めたに違いない。従来、iモードコンテンツのファイル容量制限をかけるにあたり、「ダウンロード速度と料金のバランス」を常々強調していたiモード事業部は、505iで各コンテンツの容量をいきなり2倍にした。今後も50xシリーズでやっていこうと考えているなら、ユーザー負担を一気に増大させるこうした施策は採らないだろう。あくまでFOMAを見据えての戦略である。

 実際、まだ505iシリーズは4機種が未発売なのに、iモード事業部幹部たちは「次のFOMAは……」「FOMAの魅力はパケット料金」と、FOMAのアピールに躍起だ(6月10日の記事参照)。

505iユーザーは潜在FOMA予備軍

 505iが成功すれば、FOMAの未来が明るい──。そう思わせる要素はいくつもある。

 1つは“リッチなコンテンツ”だ。従来、iモードコンテンツの勝負は、「携帯電話のプアな環境で、どう面白いものを提供するか」にあった。通信環境が高速になったからといって、ユーザーがそのリッチコンテンツに興味を示すとは限らない。だが、505iで“2倍程度”リッチになったコンテンツが受け入れられるならば、FOMAでさらにリッチになったコンテンツにもニーズはある。505i向けコンテンツは、FOMA向けリッチコンテンツの試金石でもある。

 もう1つは、端末のサイズだ。FOMAの課題の1つは端末の大きさ、重さ。折りたたみ型でも100グラムを切ろうかという時代に、FOMAはあまりに巨大だった。しかし505iを見ると、FOMA並に、いやFOMA以上に大きく重い端末が目白押しだ。505iが受け入れられるのなら、大きなFOMAも受け入れられる。

 3つ目はバッテリーの持ちだ。単純に連続待受時間だけを見れば、FOMAは未だに50xシリーズに遥かおよばない。しかし携帯の電池は今や“待ち受け”だけに使われるものではない。QVGA化した液晶、メガピクセルカメラ、高速なJava(iアプリ)……。いずれも電池食いの機能だ。電話待ち受けではなくてゲームや写真撮影で電池がなくなるというのが、ハイエンド端末の実情である。実際、505iの機能をフルに活用するには、毎日充電しなくてはならない。電池容量の中で、通信が占める割合が減ることは、相対的にFOMAのデメリットが解消されることを意味する。

505iは“架け橋”でしかない?

 世間の505iに対する期待と興味は大きい。しかし開発を手がけたiモード事業部にとっては、あまり満足できる端末群ではなかった可能性も高い。

 これまでiモード端末が他キャリアに対して優位にあったのは、他キャリアが真似のできない魅力的な仕様を用意してきたからだ。503iでは、容量と機能を制限したオープンなiアプリを用意。504iでは、待ち受けiアプリと赤外線を組み合わせた。

 ところが505iでは、Macromedia Flashの搭載程度しか、大きな革新がない。当初は505iシリーズ共通機能を想定していたバーコード読み取り機能も、フタを開けてみれば対応できたのは3機種だけだ(6月11日の記事参照)。メガピクセルカメラや外部メモリ、QVGA液晶、家電のリモコンになる赤外線などは、他キャリアでも部品さえ用意すれば容易に追随できる。

 “iモードならでは”の機能の搭載が間に合わなかったことが、iモード事業部に「FOMA、FOMA……」と言わせているのだろう。

 ともあれ、ドコモの中でも強大な影響力のあるiモード事業部がFOMAに注力し始めたことには注目だ。コンテンツプロバイダも「今がFOMA対応を進める、いいタイミング」と口を揃える。505iはまだ登場仕切っていない。しかし時代の流れは、505iを架け橋として急速にFOMAに傾きつつある。



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[斎藤健二, ITmedia]

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