Mobile:NEWS 2003年7月23日 09:44 PM 更新

メガピクセルじゃなくても売れる自信はある〜開発者に聞く「N505i」

「メガピクセルか否か」で語られることが多い505iシリーズ。NECは搭載を見送ったメーカーの1つだ。「それでも売れる自信はあった」というN505iは、何にフォーカスした端末なのか。開発陣に聞いた。

 505iシリーズ6モデルのうち、メガピクセルクラスカメラの搭載を見送ったのはNECの「N505i」とパナソニック モバイルコミュニケーションズの「P505i」の2モデル。人気の「N」がメガピクセルを搭載しなかったのにはどんな理由があったのか、どこに端末の魅力を出していこうとしたのか──。

 「メガピクセルじゃなくても売れる自信はあった」と話すモバイルターミナル事業部商品企画部の山田義昭技術課長ら開発陣に話を聞いた。

N505iは「使うため」のカメラを搭載

 NECがメガピクセルカメラを搭載しなかった理由のひとつは「使うカメラ」であることを重視した方向性だ。

 メガピクセルが搭載された505iシリーズの中には、「SO505i」(6月2日の記事参照)や「D505i」(5月30日の記事参照)のように、デジカメスタイルにふったメーカーもあるが、N505iは、「携帯電話であることを第一に考えている」という。それは、「携帯電話にカメラが付いたら、こんなにいいことができる、ということ」(山田氏)。iモードサービスとの親和性を見ながら、できるだけ携帯電話の中でオールインワンで完結できる機能を入れていくという考えだ。

 「動画から気に入ったシーンの静止画を切り出して背面液晶や発着信画面に設定したり、静止画でもiショット(L)で撮った画像をパケット代節約のためにiショット(S)に変換するといった提案を(N505iでは)している」。


撮影した動画から静止画を切り出す。iショットメールはできないが、待ち受けや着信画面に使える


撮った画像の一部を切り取ってiショット送信も。待ち受けより大きな画像や120×160ピクセルより小さい画像は切り抜けないが、iショット(L)画像は縮小すれば切り抜ける

 使うためのカメラ機能として「N504iS」(11月20日の記事参照)から引き続き搭載されたのが、OCRで電話番号やURLを読み取る「アクセスリーダー」。「小文字のsと大文字のS、数字の0と英字のOなど微妙なところも認識できるようになった」(モバイルターミナル事業部の廣瀬まさみ氏)など、ソフト面の強化が図られている。

 QRコード読み取り機能よりアクセスリーダーを選んだのは、雑誌などに載っているものをそのまま取り込めるので、インフラに左右されないからだと山田氏。ただし、流れとしてはコード類は普及するだろうといい「動きを見ながら次にどうするかを考える」。

 メガピクセルを見送ったもうひとつの理由はデザイン面での「Nらしさ」の追求。「505の開発フェーズにおけるメガピクセルカメラモジュールの技術レベルからすると、デザイン的な部分を犠牲にすることになる」。メガピクセルを積むとカメラのところが出っ張ってしまうため、デザイン的な印象が変わったというように見られる可能性があるという。「NECらしいデザインを踏襲していく中で今回の搭載は見送った」。

 メガピクセルを搭載しなくてもN505iの売れ行きは好調だと山田氏は自信を見せる。「ほかの使いやすさの部分で仕掛けを入れているので、十分ほかの端末と戦えるだろうと思った。実際、(N505iは)よく売れている」。

 一方で「何世代もスペック的に見劣りするものを出していくことはできない」ともいい、メガピクセルが今後の検討課題であることは明言している。ただしその場合でも、一般のユーザーがどこまでメガピクセルを欲しているのかは気をつけてみていかないといけない」と慎重だ。

「大画面で何が便利になるか」を追求

 N505iの大きな特徴は、2.4インチと大画面のQVGA液晶。これを「どのように便利に使うか」がN505iの魅力につながっているという。「画面が大きくなったというだけでは訴求できない。(大きくなって)こんなにいいことができます──という仕掛けをあちこちに作っている」(山田氏)。

 大画面を生かした機能で注目なのは、文字の大きさが3種から選べるiモードの画面表示と、受信メールを画面の上半分に表示させながらメールの返事が書ける「ツインウィンドウ」だ。


iモードサイトの文字の大きさを変えられるのは、今のところ富士通のらくらくホンIIとN505iのみ


メール画面から「参照返信」を選ぶと「ツインウィンドウ」に。左ソフトキーを押していくと「絵文字1」「絵文字2」「全角記号入力」「特殊記号」「半角記号入力」の順に一覧画面が切り替わって表示される

 「1ページでたくさんの情報量を表示させる場合、小さい文字がきちんと見えることが大事。大画面のQVGAだからこそ小さい文字が生きる」(モバイルターミナル営業本部の市川雄三主任)。

 メール作成画面では、絵文字や記号の一覧も表示させられるようになり、連続入力が可能になった。「(左ソフトキーで)ワンタッチで絵文字や記号の一覧を呼び出せるので、絵文字を使ったコミュニケーションがスムーズにできる」(廣瀬氏)。

 待ち受け画面上にアイコンを置いて、そこからよく使う機能にアクセスできる「デスクトップ貼り付け」も、大画面化に伴い仕様が変わった。これまでは画面上に複数並べるようになっていたが、N505iでは矢印型のアイコン1つに。このアイコンを押すと20件まで登録できる各種機能にアクセスできる仕組みだ。


新しくなったデスクトップ貼り付け。左がN504iS、中がN505i。N505iでデスクトップアイコンを押すと左の画面に切り替わりよく使う機能にアクセスできる

 これは待ち受け画面上にアイコンが並んでいると、せっかくの写真が隠れてしまうというユーザーの声や、このエリアを気にしてコンテンツを作らなければならないというコンテンツプロバイダの声に応えたものだ。「大画面を有効に使ってもらいながら、デスクトップの使いやすさはそのままに──ということから出た答えが新しいデスクトップ」(廣瀬氏)。

 以前のデスクトップに比べてワンアクション増えてしまうことになるが、「最後に使った機能にカーソルがいくようになっている」など工夫しているという。

「シングルチップは限界」〜SH-Mobile搭載の意味

 N505iは、SH-Mobileの搭載によるツインCPU構成なのも特徴だ(7月15日の記事参照)。505iシリーズではQVGAの描画など付加がかかる機能が共通仕様として盛り込まれている上、メーカー独自の機能も入れなければならない。そうした中で「シングルチップは限界が見えてきた。50X系の機能を載せていく機種はツインCPU構成で、ということになるだろう」と山田氏は話す。

 SH-Mobileが処理しているのは画像周りやQVGA描画、外部メモリなど。「カメラ部分で動画や画像の編集を強化しているので、画像周りはSH-Mobileに持ってきている」。

 どこにSH-Mobileの効果が出ているのかは、一概には言えないとしながらも、Flashの動きの速さやJavaの実行スピードなどには効果が出ているのではないかという。「Flashは初搭載の機能なので、いい数値を出したいと思っていた。開発中はほかの端末がどれくらいか分からなかったので比べようもなかったが、出てみると速いな、と思う」。



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関連リンク
▼ NEC

[後藤祥子, ITmedia]

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