Mobile:NEWS 2003年12月17日 04:50 PM 更新

“au買うのはちょっと待って”とドコモ、榎氏

このところ純増数が落ちこんでいるドコモ。この事態をよほど気にしているのか、iモード事業本部長の榎啓一氏は、“キャリア替えは来年2月のFOMAを見てからにしてほしい”とコメントした。

 「最近ちょっとauさんに押され気味で調子が悪いが、がんばるので引き続きご契約いただきたい。auやボーダフォンの方は、ぜひドコモに変えていただければと思っている」──OracleWorld Tokyo(特集参照)の特別講演に登場したNTTドコモのiモード事業本部長、榎啓一氏は、開口一番、こう口にした。

 これは純増数でこのところ負け続けていることを受けた発言のようだ(12月5日の記事参照)。そして榎氏はPDCからFOMAへの本格的な移行が始まっているとし、こうも言い添えた。

 「(次期)FOMAは明日、記者発表する。来年早々に新製品を出すことを考えて、最後の仕上げをしている段階。面白いサービスも出る。もしも“ドコモ面白くないからauに行こうかな”という方がいたら一瞬止まって、来年の2月頃に出る予定のFOMAを見てからご判断いただきたい」(11月17日の記事参照)

「赤外線」「二次元バーコード」「非接触ICカード」は3種の神器

 OracleWorld Tokyoの講演ということで、テーマは“これからのiモードをビジネスの観点から考える”というもの。携帯電話の高機能化やデータ通信の普及に伴い、2004年には“iモードを生活のコントローラーに”というコンセプトがより身近なものとして出てくるという見方を示した。

 その上でドコモが3種の神器と位置づけるのが「赤外線」「二次元バーコード」「非接触ICカード」だ。いずれも、ドコモが推進しているリアルとの連動に関連する機能。二次元バーコードは(用語参照)、今後の50xシリーズやFOMAに標準搭載される機能で(6月11日の記事参照)、非接触ICカードも来年夏頃に最初の搭載端末が出てくる予定だ(12月15日の記事参照)。

 榎氏が二次元バーコードのメリットとして挙げるのは、プリントメディアとの融合。プリントメディアのメリットを生かしながら、デメリットを補うのに、二次元バーコードは最適だという。例えばプリントメディアのメリットは、(ポスターなど)人目を引けることや、(新聞、雑誌など)総覧性が高いこと。こうした部分は二次元バーコードを刷り込むことで、携帯電話を補える。

 逆にプリントメディアのデメリットである「刷った瞬間に情報が止まってしまう」点を、携帯電話の即時性でカバーできる。商品の値段が変わったり、種類が増えたりといった変更はサイト側でカバーし、プリントメディアはサイトへの誘導手段として使えばいいという考えだ。

 こうした仕組みは行政にも使えると榎氏。観光地のポスターに二次元バーコードを入れれば、観光客は現地でどんなイベントがやっているのかが分かり、行政側はイベントが変わるごとにポスターを刷りなおす必要がない。「“この店で何割引”といったクーポンを入れられるなど、販促として使える」。

 以前は同様のことをするにも、多額の導入コストが必要だったが、最近では「簡単なサーバを立てて、ローコストで入れられる状態になった」といい、商店街のIT化にも貢献できるという。「来年以降、新聞や雑誌で二次元バーコードを目にする機会が増えると思う」(同)。

 来年夏には最初の搭載端末が登場予定の「非接触IC」(10月27日の記事参照)も、榎氏が大きく期待するところ。“カードとして非接触ICカードを持つ”ことに比べて“ネットワークにつながっていることが利点になる”というのがその理由だ。

 「非接触ICカードの場合、追加で新しい機能を持たせるためにはカードを取り替えなければならない」。非接触ICカード内蔵iモード端末は、各種機能をアプリで提供するため、使いたい機能はダウンロードすれば使え、使わなくなったら削除すれば済む。ネットワーク経由で追加機能を配信できるので、「1〜2日限りのイベントに使ったりもできる」。

自らの意思で持っているものを使う

 携帯電話とリアルとの連携が現実のものになるまでには、いくつかの段階があったという。「携帯電話も始めた当初は0。まずは“持ってもらう”ということで、電話やメールのサービスをアピールした。まずは広げようと」。携帯電話を持つ人が増えたら次は“使ってもらう”段階に向けてWebやアプリを提供。リアルとの連携は“さらに使ってもらう”段階だ。

 「ものが普及するときのプロセスとして大事なのは、“限られた目的のために持たせる”のではなく、“自らの意思で持っているものを使う”こと」(榎氏)。2004年はiモードが新しい段階に入る年になりそうだ。



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関連リンク
▼ OracleWorld Tokyo

[後藤祥子, ITmedia]

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