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ついに"ヒトのナビゲーション"が可能に──。KDDIが発表した「EZナビウォーク」は、携帯電話+GPSの究極の利用法として、誰もが望んでいたサービスだ。 しかし、これを可能にするには三つの大きな技術的革新が必要だった。BREW、MSM6100、そしてMS-Basedである。従来もGPSケータイを使って現在位置の地図やルートを表示させることは可能だったが、「リアルタイムではなかったし、料金的にもパフォーマンス的にもナビゲーションはさせずらかった」と、KDDIはうち明ける。 "パーソナル・ナビ"を可能にした三つの技術革新。いったいそれは何だったのか。順に見ていこう。
「MSM6100がなければ、パーソナル・ナビは存在しない」とまで言わしめるパフォーマンスを、このQUALCOMMの新チップは備えている。MSM6100とは、CDMA2000 1xの通信処理を行う携帯の心臓部ともいえるチップだ。それだけでなく、メニューを表示させたりアプリケーションを動作させるCPUの役割も果たしている。 パーソナル・ナビではQVGAの高精細液晶に詳細な地図を表示、それをユーザーの動きに従ってリアルタイムスクロールさせることが求められる。そのためには、従来よりも圧倒的に高速なCPUが必要だった。 従来のau端末に入っていたQUALCOMM製チップは、ARM7ベース。クロックも数十MHzだった。MSM6100は、CPUコア自体をARM9に変更したうえ、クロックを最大150MHzまで向上させている。従来のMSM5100では「GPSと音声再生を同時に利用することは難しかった」(クアルコムジャパン)が、MSM6100ではDSPが2個搭載され、こうした処理も容易になっている。 こうしたパフォーマンス面の改良によって、メニュー表示やWebブラウザも軽快に動作するだけでなく、「数秒に1回」というGPS測位に合わせて、地図をリアルタイムスクロールさせ、さらに音声によるルート案内も行う──という高機能なナビゲーションが実現したわけだ。 これまでのGPSケータイは、位置を測位するためにサーバとの通信が必須だった。リアルタイムナビゲーションを実現するには、短い間隔で定期的に位置測位ができる仕組みがいる。それを実現したのが、QUALCOMMが開発した「MS-Based」方式のGPSだ。 カーナビゲーションのように全く通信を行わない測位方式を「自律型」、従来のGPSケータイのようにサーバと通信しつつ精度を向上させる方式を「サーバアシスト型」と呼ぶ。MS-Basedは、最初の位置測位時に、効率良くGPS信号を受信する為のアシスト情報をサーバーとの通信により取得する。その後はGPS信号を取得できる限りは自律型のように単独で測位を行う。 これによって、「現在位置をリアルタイムで測位して、地図をオートスクロールさせる」ことが可能になった。GPSケータイとカーナビのGPSの、まさに"いいとこ取り"の方式なのである。 しかも屋外で使用する場合は、ほとんどの場合、位置測位用の通信は最初の1回だけで済むため、その後リアルタイムで行う測位は通信料金がほとんどかからない(最初の位置測位の通信により約30分から2時間は有効)。そのため、安心して利用できる。
そして、MS-BasedとMSM6100のパフォーマンスを生かす、パーソナル・ナビのアプリケーションは、BREW2.1上で動いている。 BREWはQUALCOMMが開発した、極めてネイティブに近いアプリケーションプラットフォーム。現在auのBREW端末はバージョン2.0で提供されているが、今回パーソナル・ナビを提供するにあたり、世界で初めてBREW2.1対応端末が投入された。 パーソナル・ナビのアプリケーションを開発したナビタイムジャパンは、「BREWを使うことで、画面がQVGAでありながら動作にストレスがなくなった。むしろ速くなった」と話す。 Javaのように新しいアプリケーションをダウンロードして追加できる上、速度はネイティブアプリケーション並。「BREWを使って初めて、ARM9の速度が実感できる」(ナビタイム)。そして、MS-Basedのような端末の最新機能を容易に利用できる。 BREW2.1には、1)サーバアプリケーションが作成可能 2)BREWからカメラを起動して写真が撮れる 3)3Dポリゴン機能を利用できる といった機能拡張もなされており、これまで以上に高機能なアプリケーションが開発できる。 "パーソナル・ナビ"は、QUALCOMMの三つの技術、「MSM6100」「MS-Based」そして「BREW2.1」が支えているのである。 関連記事
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