au one メールは「一生つきあえる100年メール」──KDDIの高橋氏
Googleとの提携により、Gmailをauのメールサービス「au one メール」として提供するKDDI。同社コンシューマ事業統括部長の高橋誠氏は、EZメールはリアルタイム用途で、au one メールはアーカイブ型の「一生つきあえる100年メール」として利用できると説明する。
「200文字を毎日20通メールしても100年分のメールを保存できる。一生つきあえる100年メール」──。KDDIの高橋誠コンシューマ事業統括部長は、9月から開始する「au one メール」の特徴を、こう説明した。
- →KDDI、Gmailを活用した容量2Gバイト「au one メール」開始
- →KDDI、統合ポータル「au one」開始──DIONも「au」ブランドに変更
- →第5回 KDDI 高橋誠氏──Web 2.0時代の携帯電話サービスとは
au one メールは、KDDIがGoogleとの提携サービス第2弾として提供するメールサービス。Googleが提供するGmailベースのWebメールをauの公式サービスとして提供するもので、申し込むと従来のEZメールに加えて「○○@auone.jp」というau one メール専用のメールアドレスを取得できる。メールはGmailと同様のPCからも携帯からも利用でき、場所や環境に適したデバイスからメールを利用可能になる。
高橋氏はEZメールとの違いを、ストレージ的に利用できる点だと説明する。EZメールには受信したことがすぐ分かるリアルタイム性や、端末内からすぐ呼び出せる分かりやすさがあるが、機種変更時にデータを移せなかったり、データが分散してしまうというデメリットもある。
au one メールはオンライン上の2Gバイト領域に大量のメールを取り込んで一元管理できるため、機種変更をしてもWeb経由で過去のメールデータにアクセスできる。またGoogleの検索技術を採用したメール内検索を使えば、キーワードを打ち込むだけで過去のメールから必要なものを探し出すことが可能だ。
「携帯のリサイクルが進まない理由の1つに、過去のデータを捨てたくないというものがあるくらい、ユーザーにとって過去のデータは重要。au one メールなら、学生時代の他愛のないやりとりや、子供の時に親に送ったメールなどをアルバムのように見ることができる」(高橋氏)
今後はau仕様にカスタマイズを
Googleは3キャリア向けにモバイルGmailサービスを提供しており、au one メールもサービス開始当初はドメインが異なるくらいでサービス内容はさほど変わらないが、今後auケータイと連携した便利な機能を順次追加する予定だという。
待受画面やメールメニューから容易にアクセスできるようにするほか、絵文字への対応やEZメールをau one メールに自動転送する機能、EZメールのように受信したら端末に通知する機能を順次搭載する計画だ。
FMCに向けてサービスを改編
KDDIとGoogleは2007年7月に、最初の提携サービスとして、Googleの検索技術を使ったケータイ検索を展開している。この検索サービスは、導入後に検索数が2倍に増え、月間検索数が2億超に到達。検索連動型広告の売上もバナーなどの従来型広告と同レベルの規模に成長するなど、大きな成果を上げた。「他キャリアにさきがけて導入したケータイ検索はネットビジネスの流れを大きく変え、ドコモもソフトバンクモバイルも相次いで追従した。またこの1年でユーザー側も、“何かあったら携帯検索を使う”のが当たり前になった」(高橋氏)
この成功を受けて次の連携サービスを検討する中、検索に次ぐパワーを持つWebメールサービスの導入を決めたという。「(通信速度が高速化するなど)使いやすい環境が整った今、Webメールが見直されている。そこでGmailを携帯に持ち込もうということになった」(高橋氏)
KDDIは今後の戦略として、ユーザーがデバイスや場所を気にすることなく、自分の情報にアクセスできる環境を整備することを挙げており、携帯やPCから同じメール情報にアクセスできるau one メールの導入もその一環となる。KDDIの持つポータルサイトを「au one」ブランドに統一することも発表しており、KDDIのFMCへの取り組みが一層加速しそうだ。
Googleにとって日本は重要な市場
au one メールの発表会には、グーグルの村上憲郎社長と米Google パートナー&ディレクターのダン・スティッケル氏も登場し、日本市場への取り組みつにいて話した。
村上氏は、KDDIとの提携第1弾となる携帯検索サービスについて、「想像を超える利用の水準を獲得した」と説明。Googleにとって極めて重要な日本市場で、auとの提携を拡大発展させたいとした。
スティッケル氏は、世界が日本の移動体通信市場に注目しており、日本市場のユーザーがどんなサービスをどのように利用しているかに注目が集まっているという。
今回提供するメールサービスについては大容量である点をアピール。Google社内でGmailを使い始めた当初は、大容量のオンラインストレージを利用できることからメールの削除ボタンを作っていなかったというエピソードを紹介した。「当初はメールを削除する必要すらなかった」(スティッケル氏)
Googleは検索やEメール以外にも地図サービスやドキュメント共有などのサービスを提供しており、スティッケル氏は「ここで終わりではなく、さらにさまざまなサービスを提供してKDDIとのパートナーシップを次のレベルに引き上げたい」と意気込んだ。
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