デスクトップで人気のオープンソースのWebブラウザ「Firefox」はiOS向けには開発されていないため、iPhoneやiPadでは利用できない。Firefoxを開発するMozillaによると、今後もiOS向けに提供する予定はないという。同社で製品担当パイスプレジデントのジェイ・サリバン(Jay Sullivan)氏が米テキサス州オースティンで開催中のイベント「The South by Southwest(SXSW)」で明らかにした。
Mozillaは、モバイル端末向けブラウザとしてFirefoxのAndroid版を提供しているが、iOS版は開発していない。以前、同期機能を使ってデスクトップ側のFirefoxデータにアクセスできる「Firefox Home」を提供していたが、Mozillaは2012年秋、同アプリケーションの開発を中止することを発表している。現在、Firefox Homeはすでに「App Store」から削除されている。
CNetなどの報道によると、サリバン氏がFirefoxをiOSに対応させないのは、Appleがサードパーティに制限を課しているためだという。AppleはiOSに自社ブラウザの「Safari」をバンドルしており、サードパーティのブラウザに対してはUIWebViewエンジンを用いてレンダリングを行うよう要求している。Googleは2012年に公開したiOS向けの「Chrome」ブラウザでUIWebViewを利用しているが、Sullivan氏はAppleの制限に従うつもりはない方針を明確にしたと報じられている。
Net Applicationsが行った2月のモバイル向けブラウザのシェア調査では、Safariが55.41%、Android Browserが22.82%と、iOS、Androidがデフォルトで搭載するブラウザがシェアの大半を占めた。その他のブラウザのシェアは「Opera Mini」(12.72%)、Google Chrome(1.96%)、「Microsoft Internet Explorer(IE)」(1.58%)の順となっている。デスクトップでは、FirefoxはIE(55.82%)に次ぐ2位で、シェアは20.12%だ。
Mozillaはモバイル端末向けに「Firefox OS」の開発を進めており、2013年後半に同OSを搭載した最初の端末が登場する見込みだ。
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