News | 2000年8月11日 07:00 PM 更新 |
例えば,インターネット対応のピザ焼き機――。これは,次のコンピューティング革命の立て役者になるだろうか?
In this package: |
|
「5年後のIntel」を探して | |
次のフロンティアは一般家庭――Intelアーキテクチャ研究所 | |
IntelのR&D:顧客こそ最良のリサーチャー? | |
チップの未来,Intelスタイル | |
製品直結型のIntel,巨視的戦術のIBM | |
“新しいIntel”から何が生まれるか |
Intelはコンピュータ機器が目指す次なるフロンティアは一般家庭,との確信を抱いている。そしてIntelアーキテクチャ研究所(IAL)の多くのスタッフを,この分野でのチャンス発見のための作業に従事させている。
600人もの研究員を抱えるIALは,研究開発リソースのほとんどを,コンシューマーおよびビジネスユーザー向けのインターネット対応ハード/ソフトの研究に充てている。
IALが目指しているのは,全体的なインターネット体験の向上だ。この役目はIntelにとって非常に重要だ。IALはこの目的を追求していく過程でIntelのチップや技術の応用の幅を,従来のPC市場の枠組みを超えて拡大すると思われるからだ。
IALが手がけているプロジェクトで,将来一般家庭にも普及する可能性があるものとして,以下が挙げられる。
カウチポテト族が簡単にテレビ,DVD,Webブラウザを切り替えられる,PCよりインテリジェントなセットトップボックス
ワールドカップサッカーの試合を3D化して「ボールの視点」で試合を眺めることができるゲーム
顧客が購入の際に参考にできるような,製品写真のアニメーション化を実現するWebサイト向けのグラフィックス技術
IALの技術マーケティングディレクターDavid Ryan氏は,「われわれは数年前から,包括的なインターネット体験に焦点をあてるようになっている」と説明する。
Dyan氏は,「インターネット経済のポテンシャルを活かす上で,障害となっているものは何だろう?」と問いかける。
1つに,ネット接続スピードの遅さが挙げられる。
Intelの「Connected Home」プロジェクトは,今後,広帯域接続の普及により,ホームネットワークへの需要が拡大するとの予測のもとで開始されたものだ。Intelの予測では,これらネットワークの台頭とともに,各種のインターネットアプライアンスと強力なホームPCの普及を見込むことができる。
IALの考えはこうだ。最低でも1台はデスクトップあるいはノートPCを持っている家庭は多い。一方,家電製品は,ほとんどすべての家庭に浸透している。それなら,こうした機器をすべてつなげてしまえばいい。そうなればホームネットワークを通じてあらゆる機器の情報交換が可能になり,PCに設けられた広帯域ネットワークの接続点からWebにアクセスすることもできるようになる。
PCがなくなるわけではない。PCは今後もデータの中央格納庫として存続し続けるだろう。だが,IALの研究員らは,他のデバイスもいくつか,脚光を浴びるようになると考えている。
つまりIALは,Intelがこれまで手がけてきた実用本位のPCの市場以外の分野の開拓に従事しつつある。これは大きな変化だ。IALはもともと,デスクトップPCプラットフォームがIntelチップに調和するよう,改良を加えていくことを目的として設立された研究所だった。しかし今では,既存のチップ市場の拡大に加えて,新たな市場(特に一般家庭)を開拓していくための原動力となっている。
IALの研究は主にeHome, eBusiness,ネットワークサービスの3つの分野に及んでいる。実際に企画されている製品やサービスにはデジタルテレビ,「没入型」のビデオゲーム,スマートトーイ,各種の新インターネットメディアとその配信のためのサービスなどが挙げられる。
一例を挙げよう。企業向けのビデオ会議技術を一般家庭に持ち込もうという計画がある。この技術を利用すればネットを通じて,別の場所にいる親戚や友人と仮想モノポリーゲームを楽しむこともできる。