News 2000年11月6日 11:40 PM 更新

IT革命は“センス”が大事

IT企業トップの間では,「IT革命」をお題にした大喜利が大ブームの兆し?

 IT革命が大ブームである。といっても,iモードが大人気だとか,ブロードバンドインターネットが普及の兆しを見せているとか,政府が2005年までに3000万世帯に高速インターネットを導入するIT国家基本戦略を発表したとか,はたまた,電子メールを練習していた森首相が,ソニーの出井会長に怒られたのは,実はダブルクリックができなかったからだとかいう類の話でもない。それはそれで,大いに頑張ってもらいたいのだが,ここ最近,IT業界のアイデアマンたちが,そのボキャブラリーと豊かな発想力を遺憾なく発揮し,世間を楽しませている。お題はもちろん,「IT革命」だ。

○米Compaq Computer CEOのMichael Capellas氏の場合

 「IT=Information Technology(情報通信技術)」という概念を打破したのがこの人。Capellas氏に言わせると,ITとは,単なる技術的なことを指すのではなく,「Inspiration Tetchnology」(人類のひらめきを実現する技術)を意味するのだという。この手のひねりはよくあるパターンだが,真顔でアピールされると,安易に思えないところが不思議だ。

 おそらくそのほかの候補には,「Innovation Technology」(人類にとって革新的な技術)や「Invention Technology」(人類の発明を手助けする技術)などが挙がっていたにちがいない。ただ,InventionはHewlett-Packardとかぶる(昨年12月2日の記事参照)ため落選したとかしないとか。

○松下電器産業の中村邦夫社長の場合

 世界の松下が,一介のPCメーカーであるCompaqに大喜利ごときで負けるわけにはいかない。中村社長が披露したIT革命の真の語源は,ひねりではなく,「iモードとTモードでIT革命」(10月31日の記事参照)という合わせ技。「オヤジギャグ」だとか,「自前のサービスでもないのに,Tモードなんて媚びるな」などと突っ込むのは止めよう。中村社長は大真面目なのだ。

 Tモードとはもちろん,TVをベースにしたiモードライクなサービスのこと。ポストPCはケータイとデジタルTVだという中村社長は,エレクトロニクス業界全体に占めるTVの重要性を強調。その地位は将来も不動だとアピールしている。そういえば,「Lモード」(10月18日の記事参照)が入っていないけど……。NTTはドコモだけではありませんよ>中村社長。

○NTT-MEの場合

 なかなかのセンスを見せるCapellas氏と中村社長だが,エヌ・ティ・ティ エムイー(NTT-ME)にかかれば,二人とも赤子同然だ。「1億人のIT革命」を標榜するNTT-MEは,なんと,「IT革命総合相談センター」を首都圏380カ所に設置するという。革命の相談センター?

 何をするものかとニュースリリースを読んでみると,企業のIT化や電子商取引導入をはじめ,LT(ライフテクノロジー)やET(エネルギー・テクノロジー)など,IT革命全般についてコンサルティングサービスを行うということらしい。まかり間違っても,「IT革命に参加させて下さい」などと電話をしてはいけない。

○内閣IT戦略本部長の森首相の場合

 「イット革命」? おーい山田くん,ざぶとん全部もってけー。

[中村琢磨, ITmedia]

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