News 2001年6月20日 08:11 PM 更新

家庭ユーザーに“最適化”されるWindows XPのネットワーク機能

Windows XPでは,家庭でPCを使うユーザーに便利と思われる機能が追加されている。もちろん,全てのユーザーがこれで十分というものではないが。

 Windows XPのネットワーク機能は,Windows 2000を利用している既存のビジネスユーザーに大きなメリットをもたらすものではない。だが,家庭でネットワークを使おうとしているユーザーにとっては,便利と思われる機能が追加されている。米Microsoftは,ホームユーザーにネットワークをシンプルに活用してもらおうと,Windows XPにさまざまな努力の成果を詰め込んでいるのだ。

より進化したネットワークセットアップウィザード

 「ネットワークセットアップウィザード」は,Windows Meから導入された家庭内ネットワークを構築するための設定ツール。Windows XPでは,Windows Meで導入された各種の初心者向け機能をリファインしたり,再設計することで分かりやすくWindows XPの機能を使わせようという意図が散りばめられている。ネットワークセットアップウィザードは,そのうちの1つというわけだ。

 Windows XPのネットワークセットアップウィザードは,ネットワークへの接続,ネットワーク環境の構築,ファイアウォールの設定,ならびに共有リソースの設定などを一括して行える。それぞれの設定については,ネットワークやPCについての知識が必要となるが,それをヘルプ&サポートセンタープログラムでカバーしている。

 現状利用できる回線の質問やネットワーク構成図の作成など,非常にきめ細かなサポートを行うのが特徴で,モデムなどのダイヤルアップユーザーはもちろん,DSLやCATV経由の接続,および家庭内ネットワークの構築方法までをガイドする。

 また,先週,無線LANのサポートが大きく改善されているという記事で触れたように,SSIDを自動的に取得するなど,ユーザーが簡単にネットワークにアクセスするための機能が加えられている。ワイヤレス,ワイヤードを問わず,あらゆる場面でネットワークへの接続を確保するというのが,Windows XPが最初に達成しなければならないミッションである,という意図が伝わるだけの変化は施されている(ただし,これでもなお取りこぼすユーザー層は少なくないと思うが)。

NATの問題にも取り組む

 NATとは,IPアドレスをすり替えることで,プライベートネットワークからパブリックネットワーク(インターネット)へとアクセスするためのプロトコルだ。最近は,少ないIPアドレスで多くの機器からのインターネットアクセスをサポートするため,ポート番号をずらして機器ごとにマッピングするIPマスカレード(ダイナミックNATと言う人もいる)という機能も一般的になった。

 しかし,NAT機能を通してネットワークを利用する場合,使えないアプリケーションが発生する場合がある。特にゲームやリアルタイムコミュニケーション系のアプリケーションは動作しない可能性が高い。これらの問題は,アプリケーションを利用する機器があらかじめ決められたポートを利用していること,そしてIPマスカレードが外部からの接続要求を基本的に受け付けない仕様であることから発生している。

 これらの問題に対して,マイクロソフトはUPnP(Universal Plug and Play)をベースにNATへの対応仕様を加えることで対処している。接続したい機器のIPアドレスに対して,UPnPのディスカバリメッセージを投げ,利用する機器のスペックや利用可能なアプリケーション,アプリケーションの仕様などをXML情報として取得する。このとき,アプリケーションの仕様には動作に必要なポート番号が記載されている。

 そして,インターネットへのゲートウェイとなっている機器(ルータ)と通信を行い,アプリケーションを利用するために必要なポート番号をその場で空けてもらうのだ。もちろん,特定ポート番号を要求によって空ける機能に対応したルータでなければならないが,メルコやD-Link,Linksysといったベンダーが対応を予定しているという。

 ただし,ひとつのポート番号をひとつの機器しか利用できないという制限が変わるわけではない。つまり,誰かが特定ポートを必要とするアプリケーションを使っていると,別の誰かは同じアプリケーションを使うことはできない。マイクロソフトは,根本的にはIPv6でIPアドレスの数が増えなければ,何をやっても何らかの制限は出るとあきらめているようだが,それでも複雑なポート番号のマッピングからエンドユーザーが解放されるメリットは大きい。

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[本田雅一, ITmedia]

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