News | 2001年9月18日 11:59 PM 更新 |
先日,年末に向けたカラーインクジェットプリンタの先陣を切ってレックスマークが新製品発表を行ったのに続き,日本ヒューレット・パッカードが新製品ラインナップの発表を行った。
発表されたのは,新開発ヘッドを搭載したフラッグシップモデルの「hp cp 1160」,給紙部が折り畳み可能なミッドレンジ製品「hp deskjet 948c」,モノクロもしくはカラーのみのインクカートリッジでも印刷可能なローコストモデルの「hp deskjet 845c」,漢字表記による操作ガイドや印刷プレビューを行えメモリスティック/スマートメディア,コンパクトフラッシュからのダイレクトプリントに対応した「hp pgotosmart 1315」の4機種。仕様および価格は別記事の通りである。
近年のカラーインクジェットプリンタは,エプソンのカラリオシリーズに代表されるように,写真ライクなプリントを行う機能を中心に評価され,販売にも結びついてきた。しかし,家庭へのPCの普及率が向上し,それとともにプリンタの所有率も向上した今,エンドユーザーは多用な用途に適応できる万能性が重要だ,と日本HP執行役員コンシューマ事業統括本部長の小仲浩一郎氏は話す。
昨年,年末商戦後に行われた第3者機関によるインクジェットプリンタの満足度調査結果(サンプル数1152)によると,顧客満足度のトップ3はすべてdeskjetシリーズで,上位から990Cxi,957c,930cの順だったという(かなり極端な結果だが,調査レポートは日本HP向けに出されたものではなく,複数クライアント向けに出されたもの)。ちなみに第4位はエプソンのPM-880c,第5位はキヤノンのBJ F870だった。
「カラーインクジェットプリンタは,毎年の年賀状を印刷するプリントゴッコのように言われることが多い。だが,写真プリントから電子メール,Web上の情報の印刷など,情報ソースの幅は広がりつつあり,(そうしたソースへの)ニーズは大きく拡大している」(日本HP社長の寺澤正雄氏)。
前出の小仲氏も「1台目ではなく2台目のプリンタを購入する層が増加するだろう。実際にカラーインクジェットプリンタを使ってみれば,年賀状や写真印刷だけでなく,様々な用途が存在することに気付いてくる。それらのすべてのニーズに対して,高いレベルで対応するオールラウンドの性能が求められている」と話し,その結果が顧客満足度の高さとして現れているとの見解を示した。
日本HPはカラーインクジェットプリンタベンダーとして,3強の一角を占める存在だったが,昨年はキヤノンが大きくシェアを伸ばし,日本HPのシェアは低空飛行を続けた。
しかし,寺澤社長は「今年はそれをリカバーする」と鼻息が荒い。年内の販売目標は65万台だ。HPブランドのカラーインクジェットプリンタは,普通紙画質の高さ,用紙のハンドリングや自動両面印刷機能への対応,高品質な黒文字など,実用面での評価は高いものの,写真画質や年賀状印刷にフォーカスした国内ベンダーの戦略に押され,市場での高い認知度を獲得することはできなかった。
昨年まではそうした他社にお付き合いするように,写真と年賀状にフォーカスしたマーケティングを行った日本HPだが,今年は多用な用途に対応でき,その結果,高い満足度を獲得できる万能性を強くアピールしていく。
そうした日本HPの姿勢は,フラッグシップモデルのcp1160に最も色濃く現れている。