News:速攻レビュー 2001年10月1日 08:24 PM 更新

速攻レビュー : 1+1を2以上にする日本HPのパーソナル複合機「psc 750」(2)

 他製品の場合,プリンタ部がストレート給排紙になっているため,用紙をセットする部分と排出する部分が別々に面積を取るが,本製品の場合,本体上部から見るとほとんど突起となる部分がない。排紙部分が若干飛び出す形になるが,排紙部はいずれにしろ取り出すために空けるのだから,あまり影響はないだろう。


psc 750の外観

色忠実度が高く高速なコピー機能

 まずPCを接続せず,コピー機能だけを使ってみた。コピーボタンはモノクロとカラーの2種類が並んでおり,コピーする書類によってユーザーが好みのモードを選べるようになっている。また,印刷品質もエコノ,ノーマル,ベストをトグル形式で1ボタンアクセスできるほか,コピー枚数,用紙タイプ選択などの機能に個別のボタンが割り当てられている。

 また,拡大縮小機能は,プリンタの印刷可能領域に合わせ,自動的に原稿をフィットさせることもできる。ヘッドのメンテナンスやテストプリントなどは,すべてコピー機のコントローラ側で行うことが可能なため,単にコピー機として利用するだけであれば,PCに接続する必要は全くない。

 次にコピー速度を計測してみたが,カラー原稿A4全面でノーマルモード時1分6秒,エコノモード時30秒,モノクロ原稿時はノーマルモード時18秒,エコノモード時12秒という結果だった。モノクロ時の速度は十分。カラーコピーも,大量のコピーを作成するのでなければ不満のない速度だ(いずれも普通紙への印刷時)。

 さらに,カラーコピー時の色再現性がなかなかいい。部分的に黄色が強く感じる部分もあるが,元原稿に対する忠実度はかなり高く,雑誌のコピーはもちろん,写真のコピーを取る場合もかなり美しく仕上がる。プリンタ部が4色インク5ピコリットルのエンジンであるため,写真画質を売り物にした単体のプリンタよりはアラが見えるが,PCで取り込んで加工してから印刷するよりも手軽に美しい結果を得られる。


psc 750のプリンタ機構部

 また,テキスト部分をデジタル処理することで,文字を鮮明に印刷する機能が組み込まれている(デフォルトでオン。無効にすることもできる)。このため,図とモノクロテキストが混在する原稿をコピーすると,テキスト部は真っ白のバックにクッキリとした文字で印刷される。元々,プリンタ部のテキスト品質が高いこともあり,モノクロ時の画質は満足できるものだ。

快速のスキャナ部もオマケとは言わせない性能

 では,PCに接続して利用する場合はどうか? プリンタ部は前述したように,Deskjet 957cに準ずるものだが,フラットベッドスキャナとしての性能もなかなかのものだ。冒頭で紹介したように光学解像度は600×1200dpi。

 1200dpiや2400dpiのフラットベッドスキャナが登場し,600dpi製品はローエンドになっているが,ちょっとした写真や印刷物のスキャンであれば全く不足はない。いずれにしろ,透過原稿ユニットを使ってフィルムのスキャンを行なうことはできないため,解像度的には不足があるとは感じない。

 画質の面でも,RGB各色12ビットのA/D変換を行うため階調性の面でも十分だ。色が派手で,特に空の色などが少々不自然なほど鮮やかになるなど,細かな点では不満が残るものの,一般的な家庭ユーザーであれば,むしろこうした派手さの方が好まれるかも知れない。

 スキャン速度は軽快だ。プレビュー時間は5秒,A4サイズのカラー原稿は600dpiこそUSBインターフェースの速度にも引っ張られて1分47秒だが,300dpiなら32秒でスキャンが完了する。モノクロ原稿であれば300dpiで17秒だ。上記はキャリブレーションを含まない時間だが,キャリブレーションが動作した場合でも,プラス5秒程度で動作が完了する。十分に軽快なスキャン速度だ。

 また,本体の操作パネルには専用のスキャンボタンが1個割り当てられており,原稿をセットしてスキャンボタンを押せば,あらかじめ設定した解像度,サイズで原稿をスキャンし,Windowsのマイピクチャの中に日付名で作られたフォルダに自動保存する機能もある。

性能が低いコンポーネントの寄せ集めではない

 複合機は高速なコピー機能がPCを介さずに利用でき,かつ省スペース性を兼ね備えるなど便利な面が多い反面,それぞれを単体で入れ替えることができないという欠点がある。もっと高性能なスキャナ,高速かつ高画質なプリンタに乗り換えたいと思っても,その部分だけを取り出して交換できないからだ。

 従来のパーソナル複合機は,スキャナ部の性能や使い勝手,あるいはプリンタ部の速度や普通紙画質に不満が残るものが多かった。コストを下げるため,それぞれの部分である程度妥協する必要があったためだ。

 しかしながらpsc 750は,プリンタ部もスキャナ部も,それぞれ最高の性能を持っているわけではないが,性能や機能に関して大きく妥協するほど性能の低いコンポーネントが使われているわけではない。いずれも,必要にして十分な性能と機能を有しつつ,複合機ならではの便利な機能を実現している。

 価格は5万9800円だが,実売価格は3万円台前半になるという。それだけの予算があれば同程度のスキャナとプリンタを単体で購入できるが,それぞれを単体でPCに接続する以上の機能を提供してくれる。プリンタとスキャナを同時に手に入れたいと考えているなら,パーソナル複合機も同時に検討してみてはいかがだろう。

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[本田雅一, ITmedia]