News 2001年10月26日 10:41 PM 更新

1枚15秒の高速プリント。画質は……!?――使い切りデジカメ(プリント編)(2)

 まずは,屋外での撮影。風景写真として,公園の噴水を撮ってみた。撮影時の天気は快晴で,噴水の水しぶきに虹がかかっている。時間帯は午後2時頃だ。

 写ルンです では,水が吹き上がった手前の部分と霧状になった奥の部分の噴水の違いがよく分かり,中央の虹もキレイに出ている。水面の表現も自然だ。

 それに対して 撮ってもEG は,噴水部分が全体的に白っぽくぼやけてしまい,虹もはっきりしない。水面も不自然で,水の質感が全く表現されていない。全体的に黄色っぽい発色になっているのも気になる。

写ルンです で撮影した噴水。中央の虹もキレイに出ており,水面も自然だ

撮ってもEG で撮影した噴水。全体的に白っぽくぼやけて,水面も質感が全く表現されていない

 次に,発色とマクロ機能を調べるために,公園の花を撮影してみた。1番手前の花までの距離は,約30センチとなっている。

 写るんです は,赤い花の発色が見事に表現されているが,撮影距離範囲が1メートルからなのでマクロ撮影に弱く,手前の花にピントが合っていない。

 撮ってもEGは,40センチからマクロ撮影が可能なため,より手前の花にまでピントが合っているのが分かる。ただし,噴水の写真同様に黄色がかった発色となっている。

写ルンです で撮影した赤い花。発色は良いが,マクロ撮影は苦手

撮ってもEG で撮影した赤い花。マクロに強いためピントは合っているが,発色がイマイチ

 最後に,フラッシュを使った夜間撮影では,木に登った近所の猫を撮ってみた。猫までの距離は約3メートルで,照明はほとんどない真っ暗な場所だ。

 写るんです は,夜間撮影を得意とする機種ということもあって,猫はもちろんのこと,後ろの家の壁までフラッシュが届いていた。

 一方,フラッシュ撮影可能範囲が2.5メートルの 撮ってもEGは,光る猫の目しか写っていない。撮ってもEG のようにCMOSセンサーを採用したデジカメは,感度を上げるとノイズが発生しやすくなるため高感度にできず,結果的に暗所撮影が弱くなる欠点がある。

写ルンです の夜間撮影

撮ってもEG の夜間撮影。光る猫の目しか写っていない

 プリントした時の画質面では, 写ルンです の圧勝で終わった。ただし,写ルンです は銀塩フィルムを使っているのだから,ハイスペックなデジカメでもかなりいい勝負になる。撮ってもEG にはやや強敵過ぎたかもしれない。

 やはり,L版写真サイズのプリントには,VGAの解像度では辛い。フラッシュシステムや各部の仕上がりなどを見ても,撮ってもEGのチープさは否めなかった。

 ただ,室内の人物写真などは,意外とキレイに撮れる。風景など細かい描写には不向きかもしれないが,仲間同士のスナップ写真といったプリクラ的な使い方には,重宝しそうだ。

編集部内で撮影したK記者のスナップ写真

 プリントシステムの迅速さは十分評価に値する。ちなみに,弊社近くのパレットプラザで行った 写ルンです の現像は,ミニラボマシンの調子が悪いといったトラブルもあって約2時間半かかってしまった(さらに,結局プリントは別の店で行ったというオマケ付き)。

 このようなトラブルは稀なケースで,通常スピード写真をうたっている店なら,同時プリントまでの時間は30分〜1時間で済む。しかし,ミニラボマシンの処理能力はフィルム1本あたり15分なので,注文が多い時はその分プリント時間が遅れていく。

 さらに,今回のようにトラブルが発生した時,DPE店を探すよりもコンビニを探すほうがはるかに早そうだ。全てのコンビニにプリント端末が設置されれば,それこそ“コンビニ的な手軽さ・便利さ”で,意外と普及するかもしれない。

 ハードの性能向上やコストダウンは,生産台数が増えれば解決することだ。ハードの性能アップによって画質も改善される。プリント端末も,既存PCシステムをうまく利用しているようなので,インフラ整備も低予算で可能だろう。テスト販売後の本格的なサービス開始に期待したい。

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[西坂真人, ITmedia]